2009年6月21日放送
清塚紀子さん(版画家)
高度経済成長からバブルにかけて、高揚感あふれる芸術界と一線を画し、自分自身を深く見つめる静かな作風で愛されてきた版画家の作品が、この春から大々的に公開されている。版画家清宮質文(せいみや・なおぶみ 1917〜1991)の作品である。
清宮は、夕日やろうそくの炎、チョウやガラス瓶など、はかなく美しいものをモチーフにした、微妙な色使いが特徴である。自己の内部に沈潜して創作にはげみ、現代的感性に裏打ちされた深く純粋な詩的世界を生み出した。
清宮質文は大正6年に生まれた。画家を志し、昭和12年に東京美術学校(現在の東京藝術大学美術学部)油画科に入学。創作活動を始めたのは昭和28年。清宮が手がけたのは、木版画であった。版画としては多い8〜10刷を重ね、色合いに深みを出している。透明感の高い水彩絵具を使うことで、はかない印象を与えている。
杉並区高井戸に今も残る清宮のアトリエは、生前そのままの状態で残されている。机の上には、版画の道具や水彩画の画材のほかに、小さなラジカセや鉄アレイなどもあった。アトリエから一歩も出ずに、構想から鍛錬、制作まですべてを行っていたことをうかがわせる。
清宮の手作りのノートや、関係者のインタヴューなどから、沈黙の版画家といわれた清宮質文の特異な芸術に迫る。
「照沼コレクション展」
| 会場 | 会期 |
|---|---|
| 茨城県近代美術館 | 4月22日〜7月5日 |

『ある空間 〈蝶〉』 (1962)
茨城県近代美術館

『夜明け』 (1970)
茨城県近代美術館

『暗い夕日2〈冬〉』 (1972)
茨城県近代美術館

『葬送の花火』 (1973)
茨城県近代美術館