本文へジャンプ


2009年6月7日放送

黒い線の行方 ベルナール・ビュフェ

出演

藤田宜永さん(作家)

戦後フランスで活躍した画家ベルナール・ビュフェ(1928-1999)。鋭くとげとげしい黒い線と、モノトーンに近い少ない色数で表された作品は、第二次世界大戦後の荒廃した時代の気配をみごとにとらえたと絶賛され、ビュフェは1940年代末に、「時代の証人画家」として一躍脚光を浴びた。
しかし、やがて世の評価と自分が描きたいものとのズレにビュフェは苦悩する。本当に表現したかったのは、時代の空気ではなく、みずからが抱える、どうしようもなく深い孤独だった。少年時代に強いられたナチス占領下での貧しく抑圧的な生活、最愛の母の死、たった一人、描くことだけを希望としていた青年時代、結婚後も人との交わりをさけるかのように黙々と絵に向き合った日々・・・。
晩年、病気を患い、筆を持つことも不自由だったビュフェが最後の題材に選んだのはガイコツだった。それは、太く黒い輪郭線で表されながら、胸には真っ赤な心臓、見開いた瞳が描きこまれていて、まるで生と死が同居するかのよう。もがき苦しんだ孤独の果てに画家がたどりついた境地は、どのようなものだったのか?
番組では、夫人アナベルが残した貴重な証言などを手がかりに、切りさくような黒い線をたどりながら、ビュフェの胸の内に迫っていく。

関連展覧会

「没後10年 ベルナール・ビュフェ展」

ベルナール・ビュフェ美術館(静岡県長泉町) 7月14日まで

写真

ベルナール・ビュフェ 50代のころ
(撮影:南川三治郎)