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2009年5月10日放送

戦争と芸術
クレー 失われた絵

出演

坂口紀代美さん(彫刻家)
新藤信さん(日本パウル・クレー協会事務局長)

20世紀のドイツを代表する色彩の画家、パウル・クレー。
その芸術活動には常に戦争が付きまとい、不遇な人生と闘いながらも60年の生涯において1万点余りの作品を描き残した。
第一次大戦ではドイツ軍に招へい、その後はヒトラーの政権掌握により危険な表現者・退廃芸術家の烙印を押され、亡命に追い込まれる。
スイスへ逃れたクレーは、難病に襲われながらも絵を描き続けるが、執ような弾圧は止まず、クレーをはじめドイツ現代画家たちの絵は世のさらし者にされ、海外へと売り払われていく。
第二次大戦が勃発した年、クレーは1254点もの人生最高記録となる絵を描き残し、翌年にこの世を去った。自身が「線を引かない日はなし」と語ったように、その多くが売るあてのない線描画だった。生涯で49枚の連作を描き上げ、代表作と評される「天使」もほとんどがこのころの作品である。
敗戦から15年経た年、ノルトライン=ヴェストファーレン州政府はクレーへの償いの思いから、海外へ流失した作品88点を6億円かけて買い戻した。だが現在もクレーの絵、400点近い作品の行方が分かっていない。戦争という嵐の中で、芸術はどのように流転していったのか当時を知る美術史家や研究者などの証言を軸に探っていく。

関連展覧会

「ピカソとクレーの生きた時代展」

兵庫県立美術館 4月10日~5月31日

写真

『リズミカルな森のラクダ』 1920年
ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵