2009年2月15日放送
辻 惟雄さん(東京大学名誉教授・MIHO MUSEUM館長)
羽田澄子(記録映画作家)
浮世絵の開祖とうたわれ“浮世又兵衛”の異名を取る絵師、岩佐又兵衛(1578-1650)。
伝説に彩られ、その実態が定かではなかった又兵衛作品の全ぼうが、近年明らかになってきた。その最大の特徴は、弟子たちを指揮して極彩色の長大な絵巻を描いたことである。「山中常盤物語絵巻」や「浄瑠璃物語絵巻」は、それぞれ長さ100メートル以上にも及び、牛若丸のあだ討ちや恋愛物語が現代の劇画のように生々しく描きこまれている。
また又兵衛のもう一つの特徴は驚くべき細密描法である。最近又兵衛作と認められるようになった「洛中洛外図屏風」には、実に2700人にも上る人物の群れが、一人ひとり躍動感あふれる姿で描き分けられている。
又兵衛ほど数奇な生い立ちをもつ絵師はいない。戦国武将の子として生まれたものの、信長に一族郎党皆殺しされ、乳飲み子の又兵衛一人奇跡的に難を逃れたという。
番組では、「山中常盤物語絵巻」を中心に岩佐又兵衛の細密、華麗な絵の魅力を伝える。
『浄瑠璃物語絵巻』 部分
MOA美術館蔵
『山中常盤物語絵巻』 部分
MOA美術館蔵