2008年10月12日放送

地の底からき上がる力
灼熱しゃくねつの女流画家 桜井浜江

出演

松平修文さん(青梅市立美術館館長)

『富嶽』 山形美術館蔵


昨年98歳で亡くなった女流画家桜井浜江、彼女の絶筆となった「富嶽」。
200号の大キャンバスに激しくマグマを噴出する富士を描き、画面全体に、ほとばしるエネルギーが人を引きつける。
90歳を過ぎた桜井浜江をこれほどまでに駆り立てたものは何だったのか、生前の桜井浜江を取材し、親交のあった黒沢保裕アナウンサーが、創作にかけたその思いを知るために、画家の人生や作品の魅力を探っていく。


昭和の女流洋画家の草分けである桜井だが、その創作は、封建的な社会に阻まれ、そして己の弱さとの闘いの日々でもあった。描きたい思いと、描かせてもらえない状況、そのうっ屈した精神が、作品に結実したのが「樹」や「壺(つぼ)」のシリーズ。暗い闇を背景に描かれた樹の幹や壺の存在は、どこか孤独な影とさみしさを感じさせる。
安易な叙情に走らず、より大きく、より深く、地の底から湧きあがる力を感じさせるものを描きたいと、死の直前まで休むことなく挑み続けた桜井の壮絶な世界が見えてくる。

関連展覧会

「生誕100年記念 桜井浜江展」

会場 会期
一宮市三岸節子記念美術館(愛知県) 10月4日〜11月16日

『樹(一)』 山形美術館蔵