2008年6月8日放送
辻 惟雄さん(美術史家)
ニコル・クーリジ・ルマニエールさん(東京大学大学院客員教授)
大切なものをきれいに飾りたい−。その情熱が、日本の美を生む大きな原動力となってきた。およそ4500年前、縄文時代に作られた火焔(かえん)型土器。口の部分にほどこされた変化にとんだ模様は、日本人が飾ることに情熱を注いだ原点ともいえるものである。日本で本格的に装飾文化が花開いたのは平安時代。中尊寺の金色堂をはじめ、貴族たちは、あつい信仰心を表そうと、仏教の世界を荘厳で優美に飾った。室町時代になると、貴族や大名たちが、日常の中にうるおいを求めて、連歌や茶会の席を飾る「座敷飾り」が広まった。中国伝来の高価な品々を部屋にずらりと並べて、自らの趣味を披露することに楽しみを見いだした。戦国時代、武将たちは、鎧兜(よろいかぶと)の奇抜さを競いあい、戦場に向かう自らを奮い立たせた。頭から腕が突きだしたものや、俊敏な動きで前に進むうさぎの耳をかたどったものなど、人を驚かせるような新しく力強い飾りが生まれた。乱世が終わり、江戸時代になると、飾る主役は庶民へと移る。着飾ることで日ごろの憂さを晴らすかのように、大胆なデザインの小そでが作られ、くしやかんざしなど髪飾りも凝ったものになった。
装飾芸術の名品や、いまも続く盛大な祭りなどを通して、日本人はいかに“かざり”に生きる喜びを込めてきたのか、その大きなうねりを見つめる。
「KAZARI−日本美の情熱−」
| 会場 | 会期 |
|---|---|
| サントリー美術館(東京・赤坂) (NHKサイトを離れます) |
5月24日(土)〜7月13日(日) |
| 京都府京都文化博物館 | 8月2日(土)〜9月15日(月) |
| 広島県立美術館 | 9月27日(土)〜11月9日(日) |

『火焔型土器』
国宝 十日町市博物館

『黒漆塗執金剛杵形兜』
靖國神社遊就館

『桜花飾桜花びらびら銀簪』
サントリー美術館