2008年5月18日放送
なかにし礼さん(作家)
作家なかにし礼には、人生の転機をもたらした一枚の絵がある。
ゴーギャン作「我々は何処から来るのか、我々は何者か、我々は何処に行くのか」。
衝撃の出会いは20年前。「石狩挽歌」など数々のヒット曲を生み出した作詩家は当時、表現者としての壁に突き当たっていた。
そんなとき訪れたボストン美術館で引き寄せられるようにその作品の前に立つ。
なかにしは『自分が何処から来たのか』というテーマと真正面から向き合うことを決意し、作詩家から作家へと転身する。
デビュー作「兄弟」では人生をほんろうされ続けた兄を見つめ、「赤い月」では満州からの引き揚げという極限状況の中、“母親”と“女”の間で揺れ動く亡き母の姿をありのままに描ききった。
自ら歩むべき道を見失いそうになるとき、ゴーギャンの絵と語り合ってきたなかにし礼。
なかにしは最近、自らの足でタヒチを訪れることにした。
ゴーギャンがタヒチで感じた“光”や“人”そして“精神”。
ことし70歳を迎える作家は、そこに何を発見するのだろうか。
“かぐわしき大地”に残っていた100年前の画家の息づかい。
タヒチから帰国して間もないなかにしに自らの体で感じたゴーギャンへの“いま”の想いを熱く語ってもらう。