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2007年10月14日放送

笑いに込めた仏の教え
~仙厓~

出演

玄侑宗久さん(作家)

江戸時代にこんなに可愛らしいユーモアたっぷりの絵を描いたお坊さんがいたとは・・・。今回の主人公は、異色の禅画を描いた仙厓和尚。強風に吹かれる柳の木、そこには「気に入らぬ風もあろうに柳かな」との言葉が添えられている。ならぬ堪忍するが堪忍の処世訓を柳に例えた仙厓の代表作の一つである。にんまりと笑みを浮かべた蛙が一匹。その横には「坐禅して人が仏になるならば」との言葉が。坐禅するだけで仏になれるのなら蛙はとっくになっているという意味である。分りやすい言葉とユーモアに満ちた絵、そこに込められた深い意味。江戸後期、博多を中心に活躍した臨済宗の僧侶・仙厓は、「世の中の絵には決まりがあるが、私の絵に決まりはない」と豪語し、自由奔放な表現を通じて禅の思想を庶民に伝えようとした。楽しげで分りやすく教えを説いたその絵にふさわしく、機知とユーモアに富み、分け隔てをしなかった仙厓。人々から「博多の仙厓さん」と慕われ、請われれば誰にでも絵を描き、生涯で二千点にのぼる作品を残した。だが、仙厓の作品に一点だけ全く質の違ったものがある。○と△と□だけを描いた絵である。仙厓の作品の中で添え書きがないのは、これ一点だけである。この一見奇妙な絵は何を意味するのか?そこには、一生をかけて禅を究めようとした仙厓の深い思いが込められていたのではないか。豪放磊落に見えながら、己にあくまで厳しくあろうとした禅僧仙厓。その一方で、石ころや貝殻など、広く博物学にも興味を持ち、旅が好きだった。人間仙厓の実像を改めて辿り、彼の微笑ましい絵を思う存分楽しみながらその絵に込められた深遠な意味を探っていく。

写真

『堪忍柳画賛』


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