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2007年9月9日放送

この人が語る私の愛する画家
山田太一 私と浜口陽三

出演

山田太一さん(脚本家・作家)

「ふぞろいの林檎たち」や「日本の面影」。数々の名作ドラマで知られる脚本家・作家 山田太一さん。山田さんが愛してやまないのが銅版画家・浜口陽三(1909~2000)である。ある展覧会で周りの作品がすべて色あせて見えたほどの衝撃を受けて以来、浜口は山田さんにとって特別な存在であり続けてきた。
戦前21歳でパリに渡り、戦後もパリとサンフランシスコを制作の舞台にしてきた浜口陽三はエンサイクロペディア・ブリタニカに「カラー・メゾティント(銅版画の技法)の開拓者」として紹介されるほど世界的な評価を得ている画家である。
しかし浜口の描く世界はさくらんぼや西瓜やレモン、貝殻や蝶など小さくて、ごくありふれたものだけだ。漆黒の闇に浮かぶ赤いさくらんぼや黄色いレモンを浜口は繰り返し描く。山田さんは言う。「浜口の世界は恐ろしいほど自己限定的だ。さまざまな可能性を追求するのが芸術家の業なのに浜口は他の可能性を断念し、銅版の黒い闇の追求に賭ける。それは晩年の小津安二郎の世界に通じる」と。
山田太一さんが自らの作劇法も交えつつ、日常のありふれたものを非日常に変身させる浜口の静物画の真髄を語る。