本文へジャンプ


2008年2月17日放送

よみがえる大正の鬼才
洋画家・河野通勢

出演

関川夏央さん(作家)
土方明司さん(平塚市美術館学芸主管)

岸田劉生が絶賛した描写力、関根正二に底知れぬ影響を与えた幻想性。大正期の画家たちに鮮烈なイメージを刻みつけた鬼才の画家・河野通勢(みちせい)の日記やデッサンなど1000点の資料が最近、発見された。早熟の天才画家だった河野。しかし、その才能が絵に表れたのは、わずか3年ほどしかなかった。
河野は、近代洋画の始祖・高橋由一に学んだ父次郎に英才教育を施された。また、ロシア正教に深く帰依した信仰心からは幻想的な物語世界がはぐくまれた。そして小さいころから、長野でただ一人、デューラーやレンブラントをひたすら模写し、独学で驚異のデッサン力を身につけた。濃密な気配が漂う、徹底した細密描写の世界。岸田劉生は驚嘆の眼差しを向けた。なぜ、自分と同じ世界を描ける人間がこの世にいるのか、と。一方、夭折の天才画家、関根正二は、河野と出会うことで芸術的指針を与えられる。魔術的な物語世界だ。衝撃の出会いから3年後、関根は美術史に残る傑作「信仰の悲しみ」を生み出す。同時代の画家たちに衝撃を与えた河野通勢。しかしなぜ、そのまれに見る才能は20歳前後のわずか3年ほどに限られていたのか?上京する前のふるさと長野時代に凝縮されていたのか?初公開となる膨大な資料・作品から、早熟の天才画家、河野通勢の知られざる実像に迫っていく。

写真

『長野風景』長野県信濃美術館蔵


※画像をクリックすると、拡大表示します。