中條誠子アナウンサーの日美是好日
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これぞ美術番組のだいご味!2010.2.28

フランス印象派の巨匠ルノワール、日本でも幅広い世代に人気ですね。
私も小学校時代に行った展覧会で、幼いながらもその優しい画風にみとれ、描かれた女性の魅力にあこがれたのを覚えています。

そんなルノワールが、晩年まで情熱を注いで描き続けたのが女性の肌、裸婦像でした。今回番組では、ルノワールがいかに悩みの中で格闘し続けたかを、技法にスポットを当てて探っていきました。

30代、40代、そして最晩年の70代の裸婦像をそれぞれに見ていくと、初期は、光を追いかけて描いた荒いタッチで、いわゆる多くの人がもっているルノワールの柔らかなイメージに近いもの。40代では、印象派の技法に疑問を抱き、一転して、輪郭をはっきり描く古典に戻ります。
そして70代、ルノワールは、絵の具をキャンバスに垂らすように描き、色と色とが生み出す偶然の色彩を楽しみながら、これまで歩んで来たすべてをかけて最後の裸婦を浮かび上がらせました。
それが、こちらの作品。「浴女たち」

「浴女たち」

実は正直なところ、収録の準備段階で見た資料写真では、それほどこの絵のよさが分かりませんでした。それまで私の中のルノワールのイメージが、初期のさわやかで愛らしいものだったので、それが失われてしまっていると思い、どう見ていいかわからなかったのです。

ところが、ルノワールの格闘の軌跡を知って迎えた収録当日、スタジオで実物大のパネルと対面。その瞬間、「ああ、ルノワールは本当に、絵の中に幸せな時間を描いたんだ」と納得したのです。牛のようにどっしりとした女性からは、すべてを受け入れるようなおおらかな母性が感じられ、とても穏やかな時間が永遠に流れているような、この風景をずっと見ていたいようなくつろいだ気持ちになりました。リュウマチの痛みに耐えながら、絵筆を指にくくり付けて描いた最晩年に、こんな大作を、しかも楽園を描いたルノワール。拍手を送りたい気持ちがこみ上げてきました。

画家の人生を知って、その一枚を見ると、さまざまに思いがめぐり、また違った鑑賞ができることを改めて実感した一枚でした。

テレビでご覧くださったみなさんは、どんなふうに感じられましたか?