高井 正智

2018年08月27日 (月)

踏まれても、踏まれても   高井正智

 

 

ことしも熱戦が繰り広げられた、高校野球。

 記念となる100回大会の決勝戦当日、

秋田市にある金足農業高校を取材しました。

 秋田空港に降り立つと…

 

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なまはげと一緒に、

金足農業のチームカラーの紫色のグッズを身にまとった

「秋田犬」のぬいぐるみがお出迎え。

 テレビ中継の観戦会場となった学校の体育館には、

500人以上の方が集まり、大変な盛り上がりでした。

 

 「決勝を母校で見たい」と、帰ってきた卒業生。

 「感動をもらったので、少しでも応援できれば」と、寄付に訪れた地元のみなさん。

 試合前から、感極まって涙する方もいらっしゃって、

地元のみなさんの野球部を思う気持ちに、心を強く打たれました。

 試合に先立って、先生に校内を案内していただいたのですが、

そこでも、心を強く打たれるエピソードがたくさんありました。

 こちらは、広大な敷地に広がる、学校の農場。

 

 

里芋などが植えられた畑に、果樹園。

 さらに奥には、準々決勝の最中に9匹の子豚が生まれた畜舎もあります。

 その農場の中をまっすぐのびるこの道は、

野球部の選手たちが走り込みをしている場所なんだそうです。

 一面が雪に覆われ、屋外のグランドでボールを使った練習ができない冬には、

長靴を履いて走り込みをする選手たちの姿も見かけるそうで、

先生は、そうした努力が決勝戦に進む力になったのでは、と話されていました。

 

室内練習場の中も、ご案内いただきました。

  

土で真っ黒になり、

縫い目が切れてしまうほど、使い込まれたボール。

 そして、丁寧に整備され、いつでも練習が始められそうなマウンド。

 一番目立つ場所に掲げられた横断幕には、

「雑草軍団」の文字がありました。

 案内をしてくださった宮腰明教諭は、こう話していました。

 「雑草は、農業をするものにとって、本来は戦う相手なんですが、

その雑草からも、学ぶ点はすごく多い。

踏まれても、踏まれても、立ち上がる、その強さを見習おうと、

“雑草軍団“と呼ばれるようになりました。

農業ならではの、生命への畏敬の念が込められているんです」

 そして

「雑草とはいうものの、その1つ1つに名前があり、花を咲かせる。

 だから、生徒たちは、

 『先生、俺たち、いつか花咲かせるっす』と、秋田の言葉で言うんです。

 頑張っている姿を見ると、本当にこちらが教えられることが多いですね」

 

秋田の、暑くて、“熱い”夏。

 ふるさとに帰った1人1人の選手たちの表情は、大輪の花のように見えました。

 

この記事を書いた人

高井 正智アナウンサー

2002年入局。盛岡局・広島局を経て東京アナウンス室勤務。「ニュースウオッチ9」リポーターや「週刊 ニュース深読み」「正午ニュース(土日祝)」キャスターを担当し、現場取材や緊急報道に携わってきた。好きな食べ物は、盛岡で奥深さを教わったそば、広島では週の半分くらいお世話になったお好み焼き、自分でもよく作るスパゲティ・カルボナーラなど。趣味は読書。蔵書で徐々に部屋が侵食されている。東京都出身。

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