昨年度 上場企業発表の自社株買い 総額10兆円超で過去最大

企業が株主への還元などをねらって行う「自社株買い」が活発になっていて、昨年度、上場企業が発表した自社株買いの総額は10兆円を上回り、過去最大となったことがわかりました。

企業が自社の株式を市場から買い戻す自社株買いは、株式の発行総数が減って1株当たりの価値が高まるとして株主還元策の1つとされています。

SMBC日興証券によりますと、昨年度、上場企業が発表した自社株買いの総額は10兆650億円で、前の年度より9%増え、過去最大となりました。

これは、東証が去年3月、上場企業に対し資本コストや株価を意識した経営を求めたことや、企業の内部留保が過去最高水準を更新する中、投資家から還元を求める動きが強まっていることが背景にあります。

昨年度、株式市場では、株価の上昇基調が続き年度後半のことし2月には日経平均株価も最高値を更新しましたが、活発な自社株買いが株価を押し上げる要因になったとも指摘されています。

調査を行った伊藤桂一チーフクオンツアナリストは、「自社株買いへの企業の積極的な姿勢は続きそうだが、今後は単に還元策を行うだけでなく、保有する現金を収益性の高いビジネスへの投資に回して成長していくことができるかが問われる」と指摘しています。