2018年10月17日 (水)

【テキストまとめ】買い物依存症の女

高級ブランドにつぎ込んだ総額1億円


【山里】一体何を買ってきたんですか? 今までそんなに。

【ケイコ】私はブランド物が好きで。息子たち2人が私立の中高に入ったんですけれども、保護者会とか三者面談とかあるとき、私の目線はお母さんたちの顔ではなくて、常にこうバッグの位置なんですよね。一通り全員のバッグをなめるように見て、よし、私の方が一番勝ってると。値段だったりブランドの威力というのか。私は常に勝たなきゃいけないと思っていたので。

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【山里】ちょっと考え方的には、何かアスリートみたいなところあるんですね

【ケイコ】必ず勝たなければならない思いで毎日。

【山里】日本代表じゃない、もう。絶対に負けられない戦いが、あそこでありました?

【ケイコ】はい。なので、子どもの大学、高校の卒業式とか入学式とかやっぱりバーキン持ちたいと思って、黒のバーキン。

【YOU】バーキン高いですね。

【ケイコ】ただ1回入学式とかに持ったら、普段はあまり使えないんですよ、私の着ているものに合わないし。で、結局売るんですね、すぐ売って。

【YOU】なるほど。

【ケイコ】でも、次の卒業式のときにはやっぱりバーキンを持ちたいと思って、同じものを買うんですよ。また黒のバーキンを買って。だから同じ形の同じサイズのバーキンを3回ぐらい買い直して、そのイベントのときだけに使ってすぐ売ってしまうということをやっていました。

【YOU】あら、ケイコさん、お仕事的には?

【ケイコ】無職でしたね。

【YOU】じゃ、旦那様…。

【ケイコ】生活費とか子どもの養育費とか、そういうものはもらう生活費の中でやっていたんですけれども、 私は父親が経営する会社の役員になっていたので、役員報酬が実はあって。

【YOU】なるほど。

【ケイコ】それが月に30万ぐらいあって、それは使ってもいいんじゃないかと思って買っていました。

【YOU】なるほど、でも30万じゃ足りないもんね。

【ケイコ】足りないですね、バッグ1個買えないですね。

【山里】 そうですよね。で、ローンだ。

【ケイコ】 ローンですね。20年ぐらい前に、クレジットカードというものが世の中に割と普及し出してきて、主婦という肩書でも簡単につくれた時代だったんですよね。で初めてクレジットカードを使ったときが、インポートショップでたまたま近くを通ったら、ステキなシャネルのバッグを見つけてしまって、多分、自分のあるがままの生活をしていたら一生シャネルのバッグは持てないだろうと思っていたところが、そのカードを差し出したら店員さんがくれたんですよね、バッグを私に


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【YOU】いや、くれたっていうか、まぁ…。

【ケイコ】カード見せたら私にバッグをくれたので。これは打出の小槌だっていう、魔法のカードを手に入れてしまった。

【YOU】カードヤバイっすよね。

 

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【ケイコ】何か現実を見ないで済むんですよ、買い物のことを考えてるときは。

【YOU】なるほどね。

【ケイコ】もう毎日ボロボロになってその頃、育児でボロボロ、着ている身なりもボロボロだったんですけども、ちょっとそういう物を持っただけで自分がワンランク上の人になった感じがしたんですよね。なんか自分を持ち上げられるような感じがして。

【YOU】分かるわぁ~。で、そのやっぱ最初に買ったシャネルのバッグは、だいぶ大事に持ってた?

【ケイコ】使ったのは1回か2回ですね。

【山里】えーっ!

【YOU】そこだよ、そこなんだよ。

“買い物依存症”の状態とは

【ケイコ】買い物をしたいがために、ほかのことが頭に入らなくなってくるんですよね。街でステキだなって思うものが見つかってしまうと、パチッて何か頭の中でスイッチが入ったような感じがして買わずにはいられない理由をつくり出す。これに合わせて靴が欲しいとか、いや、この靴買ったらやっぱりバッグもでしょうっていうふうになって、もう子どもに何を食べさせようとかそんなことは考えられなくなって。朝、起きたときから寝るまで、ずーっと何を買おう、お金をどうしようっていうことで頭がいっぱいになっていましたね。

 

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【山・Y】はぁ~。

【ケイコ】なので金額はあまり見なくて、それが例えば500円でも、50万円でも、金額は記号にしかすぎないので、欲しいと思ったらそれが500円でも、50万円でも手に入れるっていう。

【YOU】手に入れられちゃうんだもんなぁ。

【山里】そうですね。

【ケイコ】一番買い物をしていて気持ちがいいっていう瞬間は店員さんとかにおだてられたりしてて、もうじゃあ、いただくわと言って、現金なりカードを出した瞬間が私の一番ピークの気持ち

【YOU】わかる。

【ケイコ】なので、一日に6時間ぐらいデパートにいる日が1週間ぐらい続けてとかよくやってたんですけど、買った物を手に、紙袋をかけて歩くんですよね。テナント違うお店に行くと、「あっケイコ様、今日もいらっしゃったんですね!」「今日は何をお買いになったの?」って店員さんが。何買ったか分かんないんですよ、今、買ってきたものが。

【山里】えっ。

【ケイコ】私、何を買ったんでしょう?って開けて見て、あぁこういうものを買ってきましたっていうぐらい、
買ってしまうとどうでもよかったり。

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高級ブランド店での接客にハマっていく

【ケイコ】お店に用もないのに行くんですけどね、全員が私の顔と名前を覚えていてくれてもう「ようこそいらっしゃいました!」みたいな感じで迎え入れてくれて、奥のソファに座らせてもらって、コーヒーとか出てきたりすると、なんか「私は特別ね、やっぱり」って思っちゃうんですよね。

【YOU】え~~~。


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【ケイコ】それで裏から持ってきてくれるんですけれども、「これは一般の店頭には並べないんですけれども、絶対ケイコさんにお似合いになるだろうと思って取っておきました」って、頼んでもいないのに取っておいてくれたのが出てきたりとか。それが80万だったり90万だったりするので。結局買っちゃうんですよね。

【山里】くわー。

【YOU】人がいいんだよ~。

【ケイコ】いや、もう欲しいんですよ。

【山里】へー。

【ケイコ】あとは私シャネルにギターを勧められたことがあるんですけど、エレキギター。

【山里】(笑)。

【YOU】マジで?

【ケイコ】はい。「真っ赤なエレキギターがあるんですけど、いががですか?」 って。

【YOU】ね、ちょっと面白い。

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【山里】いや、だからもうケイコさんは、お勧めしたら、結構何でも買ってくださる方だから、ちょっとエレキ1回いってみようか?って。

【YOU】そこミーティングありましたよね。

【山里】ありましたよ、絶対。

【YOU】さすがに!

【ケイコ】要らないです。

【山里】そうですよね。

【YOU】よかったぁ。

【ケイコ】エレキは、人に見せびらかせないですもん。

【山里】なるほど。

【YOU】ね。街で弾き語りとかもできますけど(笑)。

【山・Y】ははは。

【ケイコ】私、家の中に置くものとかに一切興味がなくて。

【YOU】やっぱ外に向けてなんだね。

【ケイコ】身につけて表に出て、人に見られて何ぼだと思っていたので、家の中のお茶碗が欠けていようと、
椅子が壊れていようと、ふすまに穴が開いていようとそれは全然構わなくて、だからギターは要らなかったですね。

【YOU】そうだね。

【ケイコ】一応日常生活は、とりあえずはできたんですけどね。私スーパーマーケットが大嫌いなんですよ。

【YOU】どした?


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【山里】何で、お買い物できますよ、いっぱい。

【ケイコ】まずお惣菜買っても嬉しくないんですよね。新しく出た野菜を見てもウキウキもしないし。

【山里】はー。

【YOU】好きでもないキャベツを。値段が90円とか、知るかと。

【ケイコ】バッグの相場は分かるんですよ。でもキャベツとかタマネギの相場が分からないので、高かろうが安かろうが買う。

【YOU】興味がないんだもんね。

【ケイコ】興味がないんです。

【山里】何か根底にあるのが、やっぱこう人にうらやましがられたいとか、認められたいとか。

【ケイコ】そうですね、認められたい。

【山里】承認欲求。

自転車操業から借金地獄へ

【山里】でもね、そのままずっとひた走ってきますよ、依存の道を。お支払いはどうしてたんですか?

【ケイコ】最初の頃は、自分の貯金を崩したり、息子の学資保険もいいかな解約しちゃえって思って、あと自分の生命保険とかも解約して、だけどカードを、7~8枚の返済が毎月40~50万になってきちゃったときに、もう払えなくなったんですよね。

【YOU】払えないよね。

【山里】どうするんですか?

【ケイコ】消費者金融で借りたりとか。あとは、買った物はすぐ売ってたんです、基本的に。ただし、買った金額では全然売れないので、カードからカードへ自転車操業になっていってましたね。

【山里】わぁ悪循環だ。

【ケイコ】自転車操業になって、買い始めてから3~4年で借金400万円になったときに、もう全然自分では払えないと思って、母親に頭を下げて、全額肩代わりをしてもらったんですね。

【山里】はーっ。

【YOU】あ、そう。

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【山里】お母さん出してくれました?

【ケイコ】出してくれましたね。ただ、もう借金一切しませんって言って土下座をして、泣いて謝ってお金を出してもらったんですけれども、1か月後にはまた買い物が始まってるんですけどね。

【YOU】ケイコ?

【山里】いや、だってさ、お母さんだってその400万も払ってくれたんでしょ?

【ケイコ】そうですね。払ってくれたのでね、カード会社には全く痛手がないんですよね、恐らく。

【YOU】え?

【ケイコ】私、よいお客さん扱いになってしまってカードの限度額が倍になったりとか、

【山里】えーっ!!

【ケイコ】するんですよ。

【山里】いや、「するんですよ」じゃなしに、それをラッキーと?

【ケイコ】はい。

【山里】じゃ…行けちゃいましたよね、行くとこまで結構。

【ケイコ】そうなんです。

【山里】結局、いくらぐらいまでいきました?

【ケイコ】えっと、そこから3~4年で借金800万円ぐらいまで。

【YOU】倍ですよ。

【山里】はーっ。

【ケイコ】本当に買っちゃいけないって分かってるんですよ、もうこれ以上どうにもならないって分かってるんですけども、やっぱりね、お店から電話がかかってきたり、DMが来たり、あとは通販番組とかっていうのもよく見てたんですけれども、あれもかなりハマって。すてき!って思ったら、やっぱり電話しないではいられなかったりとか。貴金属とかにハマり出して、一時期、指輪が150個ぐらいあったときがあったんですね。

【山里】えーっ。

【ケイコ】でも指が10本しかないのに

【山里】そうだよね。

【ケイコ】150個はどうしようって思って、毎日眺めてはいたんですけど。

【山里】でも、お金がないじゃないですか。

【ケイコ】お金がないです。

【山里】どうするんですか?

【YOU】どうすんの?

【ケイコ】本当に生活費の中から削るしかなくて、例えば、明日落ちる家賃みたいなものを握り締めながら、でもこれ買い物に使っちゃうと、明日これ払えないんだよなって思いながらも、何か半泣きしながら車運転していくんですよ。

【YOU】泣きながらシャネル行くみたいな。

【ケイコ】そう、もう泣きながら買い物してたんですね。

【山里】そっか、自分でも分かってるんですもんね、これは買っちゃダメなんだと。

【ケイコ】でも、止められないんですよ。自分で道、車に乗って運転していく。誰か止めてくれって思って反対車線に何回か飛び込もうとしたことはあったんですけど。自分でも止められないと思って。

【山里】これが依存症っていうことなんですね。物欲が強いとか、そんなレベルじゃないですもんね。

【YOU】違うね。

【山里】借金はね、それがどんどんどんどん膨らんでいくじゃないですか。

【YOU】それはどう…。

【山里】どうしたんですか。

【ケイコ】その800万の支払いの途中に父親が亡くなって遺産が入ってきちゃったんですよね。

【YOU】パパぁ~。

【ケイコ】で、その金額が割と大きかったので、6,000万円の遺産が入ってきたんですけれども。

【YOU】やっば。

【山里】これはヤバイなぁ。

【ケイコ】頭の中では、それは使ってはいけないのは重々承知してるんですよ。で、2~3か月は手をつけずにいたんです。

【YOU】頑張ったね、じゃない。

【山里】確かに、うん、すごいすごいじゃない、そうじゃない、そうじゃない。

【ケイコ】あの父親は最後は肺がんで亡くなったんですけれどもね、亡くなる3日前にきょうだい枕元に呼ばれて、父親が泣いてるのを初めて見たんですよ。私のお金の問題を知っていたので、大丈夫か、大丈夫かって泣いているんですね。で、それを見ながら、大丈夫っては言ったんですけどもね。

【山里】え、でも、まあとりあえずその遺産から借金は返した?

【ケイコ】返してないです。

【山里】え…?

【YOU】え?

【ケイコ】あれぐらいあるんだから6万ぐらい使ってもいいかなと思って、6万いいんなら、あと10万ぐらいいいだろう。と思ったら2年ぐらいでなくなったんですね。

【YOU】えっ! 6,000万円?

【山里】えっ何したんですか、そんなに。買い物?

【ケイコ】多分。

【山里】覚えてないんですもんね。

【ケイコ】多分バッグとか貴金属とか。

【山里】すごいねぇ。お父さんは浮かばれないでしょう、それは。

【ケイコ】そうですよね。本当に私、父親のことが大好きだったんですね。本当に尊敬してたし、好きだったんですけど、それでもやっぱりやめられなかったですね。

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【山里】そっか、すごいことですね。

【ケイコ】で父親の遺産を使い果たした上に、また借金が…。

【YOU】えっ…。

【山里】え…?

【YOU】ちょっとどうしよう~。

【ケイコ】すっごい高いところから坂道を転がったら、止まれなくてそのままの勢いで突き刺さっていくイメージ?

【山里】はぁ~。え、借金…。

【ケイコ】結局、その後、700万円をいろんなところから借りて。離婚してね、住所も名字も変わったらカードがつくれちゃったんですよね。

【山里】あっブラックリストに載ってる人と別人扱いになったんだ?

【ケイコ】はい。

【山里】へーっ。

【ケイコ】なので仕方がないので自分の名義となったマンションを抵当に入れて、銀行から700万を借りたんですね。

【山里】それで借金を返して?

【ケイコ】いえいえ。

【山里】えっ?

【ケイコ】あのそれ、家に帰るまでに何百万か使っちゃったんですよね。

【山里】えぇ!

【YOU】お化け出た~。

【山里】お化け出た、急に消えた、お金。

【YOU】あ、そう。

【ケイコ】何か本当にそれを返せば700万の借金だけで済んだんですけれども、結局、700+700で1,400万に最終的になって。

【山里】えーっ。

【YOU】それってどう、それができる日本の仕組みは大丈夫かしら?

【山里】いや、本当心配になりますね。

【ケイコ】本当に、その当時思ったのはバッグは欲しいけど、家は別に要らないって思ってたんですよね。

【YOU】困ったな、でもさ…。

【山里】そうなっちゃうんだ。

【ケイコ】家は要らないけれどもシャネルは持っていたいって思ってましたね、本気で。

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高級品を買い続けた本当の理由

【ケイコ】最近思ったんですけれども、私、高校を裏口入学してるんですよね。

【YOU】で、で、衝撃的。

【山里】 えっ!

【ケイコ】あの、40年以上前なんですけれども、高校の受験をするときに、父親から「お前は〇〇高校に行けるようになってるので、大丈夫だ」というふうに言われて。

【山里】はー。

【YOU】あぁもうだからお金持ちだから。

【ケイコ】前の日に問題を手渡されて、これをやっとくようにって言われて。

【YOU】やっば…。

【山里】うわ、すげ、あるんすね、そんなこと。

【ケイコ】本当に次の日同じ問題が出たので、ちょっとびっくりしたんですけど。

【YOU】やっば! そっちで来てもらってもよかった。

【山里】そうですね、裏口入学経験者。

【YOU】初めてのダブルの。

【ケイコ】私もま、ラッキーぐらいにしか思わなかったんですね。でも学校に入学してみたら、自分の持ってる偏差値より10ぐらい上の学校だったので、全く勉強についていけないんですよね。勉強についていけないのはまだしも、自分はとてもズルをしてここにいるっていうのが私は何より分かっているんですよ。で、自分がそこにいること自体がすごく罪なようになって、この時計なんですけど(腕時計を見せる)、40年前、父親が高校入学のときに買ってくれたんですけど、当時ロレックスをしている高校生はあまりいなくて。

【YOU】いなかったでしょうね。


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【ケイコ】学校にしていっても、誰も気がつかなかったんですけど、私は唯一ロレックスをしているということだけで、その学校にいてもいいような気がしてきたんですね。

【山里】はーっ。

【YOU】うわ、根深っ!

【ケイコ】唯一、何かこれがすごい私を救ってくれた。

【YOU】助けてもらったんだね、ブランド物に。

【ケイコ】そうなんです。なので、この時計はすごい宝物で、お風呂に入るとき以外は、ずっと寝るときも
つけてたぐらい、何か自分を持ち上げてくれる。

【山里】はーっ、高価なものが自分の価値を上げてくれる、そのおかげで助かったっていう経験が。

【ケイコ】あの頃から何か、物で自分を底上げするっていうことを経験してたんだなって思って。

【YOU】なるほどね~…。

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投稿時間:23:20


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