演奏の注意としてはですね。例えば、皆さんぜひこの曲を、先生も、生徒さんも全員でメロディーを何度も歌い込んでみて頂きたいと思うんです。
そうすると例えば、このビートにうまく言葉を載せる乗せ方ですよね。
こんなのが段々解ってくる。それから、声の出し方についても少しづつ、マッチした声の出し方があるんじゃないか、これが段々解ってくる気がするんです。
例えば、「私は今」というのが「私は今」っていう普通の合唱曲と普通のクラシカルなきれいな合唱曲と少し違う、例えばこういうビートに(手拍子で4/4拍子を叩きながら)「わたしはー、いまー、(下線部にアクセント)」という風にビートに乗りやすい、言葉のつけ方、発音の仕方を少し工夫されてもいいかもしれません。
それから発声ですけれども、これも、ただ普通にきれいにハモるだけじゃない発声の仕方、もっとメッセージを送るような、そういう声の出し方もポップスのシンガーの皆さんの出し方に少し影響を受けて、参考にするような、そういう出し方も工夫してみてはいかがでしょうか。
そして曲の中で、例えばこのEの部分ですね。「さよならは悲しい言葉じゃない」56小節のところです。ここは前の部分で言うと盛り上がるサビの部分ですけれども、ここではあえてパート一つでメゾピアノにしています。編曲の鷹羽さんのこの工夫を皆さん演奏者がうまく表現して、大切にしていただきたいところだと思います。
みんなで盛り上がるんじゃなくて、ひそやかにこの言葉を伝える。どうしたらいいんでしょう?どうか皆さん考えてみてください。
このYELLという曲ですけれども、まず楽譜を手にしたら是非詩を読んでみて頂きたいと思います。この曲は一番最初、「“わたし”は今どこに在るの」という歌詞で始まりますが、この中の“わたし”という言葉にはカッコ(“”)がつけられています。これはどういう意味なのかというとカッコ付きの私は自分自身とか、自分らしさを表しているんですね。音を聞いただけ、あるいは楽譜を見ただけではこの主人公は自分のことを「わたし」と呼んでいるのかと思いますけれども、そうではなくてこの主人公は自分のことを「僕」と呼んでいます。このこと「わたし」という言葉はこの曲の中で2回出てくるんですけども、それは、いずれも自分自身を表しているんだということを理解しておいていただきたいなと思います。何故かといいますと、その「わたし」が今、存在感と言うのを感じられないでいるわけですね。そのことが今「僕」にとってはとても不安なんです。
自分らしく生きる。そのためには人と違うことも恐れてはいけない。でもそうすると人は孤独にならざるを得ない。でも、自分が自分であるために、あるいは自分の夢を追い続けるためにはそこを踏み出していかなければならない。どうもこの詞はそういうテーマを持っているようです。
そこへ、サビに出てくる「サヨナラは悲しい言葉じゃない それぞれの夢へと僕らを繋ぐYELL」という言葉が絡んでくるわけですね。
演奏上気をつけてほしい点としては、やはり元々がポピュラー系の楽曲なので主旋律の存在感が常に必要になると思います。合唱になってはいますけれども、常にメロディーのパートがよく聞こえるように配慮して歌っていただきたいと思います。