Q
どうして奈良公園にはたくさん鹿がいるのですか?
A
奈良公園の鹿は、約1300年の昔からそれぞれの時代ごとに、大切に保護されてきた経緯があり、1957年には国の天然記念物「奈良のシカ」として指定されました。奈良公園を訪れる多くの観光客を迎えています。しかし、奈良のシカは2度絶滅の危機がありました。
1度目:明治維新の混乱(1873年)によって38頭まで激減。
2度目:太平洋戦争(1946年)の影響による食糧難で、鹿の密猟が多発し、79頭まで激減。
Q
奈良のシカは、どうして神様の使いなの?
A
奈良の鹿は、春日大社の社伝によると、768年平城京鎮護のため、鹿島神宮(茨城県)の武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、白鹿の背に乗り御蓋山(みかさやま)に奉遷されたという伝説により、奈良のシカを「神鹿(しんろく)」として神聖視し、保護敬愛されたことで「神の使い」と言われています。
Q
天然記念物「奈良のシカ」の頭数は?
A
平成27年7月現在、奈良公園に生息している「奈良のシカ」の頭数は、総数1495頭 内、奈良公園生息数1191頭(雄鹿204頭、雌鹿788頭、子鹿199頭) 鹿苑保護収容数304頭(雄鹿180頭、雌鹿124頭)
※奈良の鹿愛護会調べ
Q
奈良のシカは何を食べているのでしょう?
A
奈良のシカは、不嗜好植物(ナギ、ナンキンハゼ、アセビなど)以外の、芝や木の実(ドングリ)などを食べます。そして牛のように4つに分れた胃をもち反芻を行い、胃の中に共生している微生物によって消化を行います。「鹿せんべい」は、おやつで餌ではありません。
Q
奈良公園の鹿がおやつで食べている鹿せんべいは何で出来ているの?
A
鹿せんべいの歴史は古く、1672年には奈良公園内に鹿せんべい売りがみられたそうです。原材料は、米ぬかなどで作られ、砂糖や刺激物などは一切入っていません。「鹿せんべい」の売上の一部は、鹿の保護にあてられています。
Q
鹿せんべいを与えるときに、注意することはどんなことでしょう?
A
奈良のシカには「鹿せんべい」以外の食べ物を与えないでください。お弁当などは、消化不良や食中毒の原因となります。鹿せんべいを与えると、周辺からたくさんの鹿が寄ってきますので、注意してすばやく与えてください。鹿せんべいがなくなったら、すぐに手を「ぱっ!」と広げて鹿に知らせてください。手に握ったままだと、いつまでも追いかけてきたり、危険な行動をすることがありますので注意してください。
Q
奈良のシカの寿命はどのくらいなのでしょう?
A
鹿の寿命は、雄12~15歳、雌20~25歳で、最も長生きの鹿は、雄21歳、雌27歳です。鹿の角は、年ごとに少しずつ大きくなっていきます。そして、毎年生えかわり、枝角のない一本角は、一叉(ひとまた)、二叉(ふたまた)、三叉(みつまた)角で、およその年齢がわかります。奈良では、秋に発情期をむかえ気が荒くなった雄鹿の角により、人への危害防止、鹿同士が突き合って死傷することを防ぐため、江戸時代から鹿の角を切っています。
Q
ケガなどをした鹿はどうしているのですか?
A
ケガなどをした鹿は、一般財団法人奈良の鹿愛護会が、鹿苑(ろくえん)という施設で保護しています。奈良の鹿愛護会では、毎日パトロールを行い、鹿が交通事故などによるケガ・骨折等の場合、救出・救助して収容し、獣医師によって治療手当を行っています。奈良の鹿愛護会では、鹿の保護を呼び掛ける啓発活動、事故防止のための様々な活動の他、伝統行事を保存継承するため、鹿の角きり行事、鹿寄せ行事等を行っています。
Q
奈良公園の木々を見てなにか気づきましたか?
A
奈良公園の木下には、下枝や下草がなく遠くまで見通しがよくなっています。この景観は、森の約2mの高さまでの下層植生や下枝を、鹿が食べてできており、この景観を奈良では、鹿摂食線(ディアーライン)ともいい、鹿が外的から身を守るために、見通しをよくしているとも言われています。
Q
奈良公園が鹿のフンだらけにならず、芝生もきれいな訳は?
A
奈良公園には、ファーブル昆虫記で有名なフンコロガシの仲間であるフン虫(ルリセンチコガネなど)が、約40種ほど生息しており、鹿のフンを食べています。そして、微生物やミミズなどにより分解され、芝などの肥料にリサイクルされているので、奈良公園はきれいに保たれています。

※このQ&Aは、「一般財団法人 奈良の鹿愛護会」により作成・監修されています。