特集

PICK UPPICK UP

お気に入りに追加

[対談]ユキロック“直虎の日々”ありのままトーク 中野直之 [矢本悠馬]×奥山六左衛門[田中美央]

直虎が城主となった時から側近として仕えてきた“之の字(ゆきのじ)”こと直之と、“六左(ろくざ)”こと六左衛門。コンビ名「ユキロック」でおなじみになった矢本悠馬さんと田中美央さんが、これまでの収録秘話、心に残る出来事など語る“直虎の日々”後編をお届けします。

直之のすべてを結集

田中最初は殿(=直虎)にお仕えしていたふたりですが、残りわずかになって井伊谷を離れて万千代のもとに向かうことになりましたね。

矢本台本をいただいた時から、楽しみにしていたシーンです。直之は「井伊谷の番人」だから徳川のもとには行かないと言うでしょう。その後、直之が井戸端で心情を吐露するシーンは、いままで演じてきた直之の集大成を見せることになると気合いが入りました。

田中あそこ、いいシーンですよね。

矢本直之が殿に言っておきたいことを、ここで全部言うんだなって。殿に仕えてからの日々を側にいて見続けてきたからこその言葉であり、それは同時に僕自身がここまで積み重ねてきた芝居の集大成にもなるという思いで取り組みました。

田中手応えはどうでしたか?

矢本撮影は朝一番だったんですよ(笑)。気持ちを作るうえでどうかなと思いましたが、自分なりに全力を出し切ることができました。長い間、殿=柴咲(コウ)さんと向き合ってきたからこその信頼感、それがある中での芝居ができたと思っています。

田中それにしても、僕ら“ユキロック”とコンビ名をつけてもらったわりには、意外と2人のシーンがなかったですね。

矢本直之は本当に殿と2人っきりみたいなシーンが多かった。

田中2人揃ったと思ったら、どちらかが怒って出ていってしまったりとか(笑)。少ないからこそ、すごく印象に残っているところがあって、殿が倒れてしまったとき、ふたりで座っているシーン。

矢本リハーサルではお互いに向き合う感じでしたね。

田中そうでした。でも監督に「横並びにしてもいいですか」とお願いしたんです。少し現代的な画になってしまうかもしれないけど、2人の背中で「疲れたね、頑張ろうね」という芝居をしてみたくて。監督も「面白いね」と言ってくださって、凸凹感たっぷり、2人で一つみたいな感じが出たと思います。

直虎とともに歩んだ日々

田中長い間、殿に仕えてきて城主時代も素敵でしたが、農婦になって髪を下ろした姿を初めて見たときは、はっとしました。もう別人のようで。それまで無理をしていたわけではないと思うけれど、時代が彼女をそんなふうに偶像に押し上げてしまっただけで、本当は女性らしい女性。もしかしたら男性を支えるようなしとやかな人だったのかなと思ってドキッとしました。

矢本僕は、城主時代の殿に対していた時といまでは芝居の仕方を変えています。前は目を見合ってワーッとやっていたのに、見た目が女性的になってからは殿にガッとにらまれると直之が照れて目をそらしてしまう(笑)。髪型を変えた時点で、前ほど近づかないようになりました。

田中柴咲さんも確実に芝居を変えてきていますからね。六左は虎松について松下家に行っていたので、再び井伊谷に戻って殿を見たとき一抹の寂しさを覚えました。殿が本当に頑張っていた時期を知っているので、そこから一歩引いた姿に生気を失っているような感覚になってしまって。

矢本城主時代は次から次と問題も起きたし、すごかったですからね(笑)。

田中そうなんです。六左的には青春を3人で過ごしたじゃないですけど、駆けずり回った時代があったからこそ、「ああ、そうか、殿も大人になっちゃったんだな」と。それは自分も大人になったことを実感した瞬間でもあった。ここからは万千代を守っていかなくてはと決心した時もそうですが、成長することの嬉しさと同時に寂しさも正直ありました。

万千代、そして未来に託す思い

矢本ここまで演じてきて、直之を生きたというより、直之を作ったという満足度の方が大きいかな。名のある武将ではない分、史実として残っているものが少ない。だから演じるうえでは自由度が高い。オリンピック選手に選ばれても予選敗退してしまったような、歴史にかなり詳しい人でなければ「中野直之って誰?」みたいな存在。でも、そういう人が一生懸命に生きていたことを伝えたいと思っていました。

田中僕も台本と台本をつなげながら、手探りで六左を作ってきたのですが、浜松が好きなので別の仕事のついでに寄るなど、ちょくちょく訪れてみたりもしました。そこで実際に浜松の人々とふれ、六左衛門の子孫の方が住んでいる家を見させていただいたり。ほかの仕事の現場でお会いしたご年配のスタッフさんが「僕は奥山出身で、小学校の担任は奥山家の方だったんです」と教えてくださったんです。ああ、そうか、六左衛門は現代だと学校の先生なのかと、そこにすごく感動してしまいました(笑)。そんな出会いを通して少しずつ積み上げながら六左衛門を作ってきた感じです。

矢本美央さんの六左を見てどう思っているのかなあ(笑)。

田中そうなんです、奥山家の人たちがどう思っているか、すごく心配です。

矢本直之はカッコよかったでしょう?

田中あ、いいな、いいな(笑)。

矢本結局、直之も六左も他の井伊谷の人たちも、ある意味、万千代=直政を作り出すための肥料だったと思います。もちろん直虎を筆頭にして、井伊谷の全員が作った花が直政だとも言える気がします。若い万千代が人のためを思い、国を思い、純粋に動いていく様を見て、僕らが殿についていったこと、直虎ファミリーがやってきたことは間違ってなかったなと、思わずおじさん目線で見守ってしまいます(笑)。

田中江戸東京博物館でやっていた「直虎展」に出かけたとき、関ヶ原で直政が掲げていたという「井」の文字が入った旗を見ることができました。そのとき、最初のロケで農民チームが「井」の旗を掲げて殿の帰還を迎えたことを思い出し、同じ旗が関ヶ原で上がったんだと感動しました。命のバトンというのかな。劇中で僕が踊った「ユズリハの歌」にあるように、世代を超えて新しい葉が生まれていく。戦を中心にしたのではなく世代交代をテーマにして素敵なお話でしたね。

矢本まだ終わっていません(笑)。

矢本田中残り3回、ぜひお楽しみください。

第一弾はこちら