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井伊谷三人衆

直親亡き後、今川氏真から虎松の後見を命じられ井伊谷に戻ってきた政次。彼が伴ってきたのが、今川家が井伊家の目付に任じた鈴木重時、近藤康用、菅沼忠久だった。後に井伊谷三人衆と呼ばれる彼らは井伊谷の近隣の領主たちだが、今川家を取り巻く情勢が目まぐるしく変化するなか、彼らも生き残りをかけて厳しい選択を迫られる。

鈴木重時[遠江と三河の境、上吉田を拠点とする国衆。井伊家とは縁戚関係にあるため、他の二人よりは井伊家にやや同情的なところもある。]
ただ、おだやかに領地を守れたら… 菅原大吉さん

僕、大河ドラマは初めてなんですよ。スタジオに入ると当時の人たちはこんなところでどう暮らしていたのかな、そんなにいいものも食べていなかったんじゃないかな、そうなると今とは考え方もずいぶん違うんだろうなといったことに思いがいくほど、時代の空気を感じられる素晴らしいセットに感動しています。
「おんな城主 直虎」は、これまでの時代劇や教科書にある戦国時代とはだいぶ雰囲気が違います。地方の豪族がたくさん出てきて、各々の縄張りを小さいながらも守っている。そこで一旗揚げようとしたり、近隣と仲良くしたり、あるいは大きな勢力が近づいてくると、そこに付いていこうかなどとみんなで相談し合う。そこが面白いですね。
鈴木重時さんについては、調べてみてもそうそう出てくるわけじゃないけれど、小さなところの親分的な人で、だからといって先頭を切って近隣の領地を自分のものにしようとしているわけではなさそうだな。みんなと仲良くやっていこうという感じの人ではないかというふうに思っています。我を張る人たちが多い中で我も張らず、「まあ、まあ」とか言いながらね(笑)。
武闘派の近藤(康用)さんとは、ある意味、真逆ですね。彼のことは、あの人やるじゃない、やり過ぎみたいだけど少し乗っていこうかという感じです。そうしないと、我々小さいから大きな勢力に潰されちゃう。周りを見ながら、「どうします?やります?」なんて、きっと三人でけん制しながら「いくなら、いくよ」みたいな感じだったんじゃないでしょうか。

菅沼忠久[一族の菅沼定盈(さだみつ)が家康に仕えていたことから、後に徳川家に仕えるにあたり井伊谷三人衆の決断を大きく左右する。]
冷静に物事を見ている気がします 阪田マサノブさん

歴史は面白いですね。残された資料からもいろいろな解釈ができるし、すき間を自分なりに推理することもできる。教科書に載っていたことが何年か後に覆されるなんてことも起きますからね。
この菅沼役もほとんど資料がないので、台本に描かれているセリフなどから探っていくという感じでした。ただ最初の段階でプロデューサーや監督にキャラクター的なことについてご相談したところ、頭の良い人で“武闘派”か“理論派”かといえば理論派だとうかがったので、そこから始めました。
今川から目付という形で送り込まれた井伊谷三人衆ですが、菅沼は井伊家に対して近藤(康用)さんほどチェックが厳しいわけではなく、あまり声高にものを言ったりもしない。それでいて、けっこう見立てが正確なところもあり、そこがカッコいいですね。直虎さんのやっていることも冷静に見て分析しているようで、そんなことを頭の中で考えて近藤さんとは対照的に演じてみたりしています。
直虎は“おんな城主”といっても戦国大名とは違い、領地を治め領民を守る立場であると同時に、その上に主家となるボスをいただいている存在。いってみれば中間管理職で、それは我々井伊谷三人衆も同じ。領地拡大に動く戦国大名を描いた作品はあったけれど、こんなふうに支配され彼らに振り回されている側の視点というのは新鮮です。被支配者側に戦国時代の国盗りはどう映っていたのか、どう生き抜いていくのか。理屈が通用しないときは通用しない、理詰めで説明しても機嫌を損ねたら終わりというのは辛いですよね。きちんと整合性のあることをやっているから生きていけるというわけでもない。その理不尽さというのが一番怖いところで、それは戦国に限った話ではないかもしれません。