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森下佳子さんインタビュー Part2 「おんな城主 直虎」を書き終えて…

柴咲コウさんが「おとわ」を塗り分けてくださった

大河ドラマ「おんな城主 直虎」、ご覧いただきありがとうございました。お話をいただいた当初、実は書ききれる気がしませんでした。成せばなるものだなぁというのが正直なところです。いまはすごく楽しかった気持ちが残っています。直虎は史実が“点”でしかなかったので、その間にどういうことがあったのだろう、それをどういうお話で伝えていったらいいのだろうということが一番難しく、一番面白いところでした。

直虎を演じてくださった柴咲コウさんはすごく華がある方。こうと決めたらこのラインでやるんだ!というのをピシっと出されるお芝居をしてくださいました。尼さん、やんちゃな城主時代、在野の農婦と立場が変わっていくなかで、「おとわ」というひとりの人が時代によって明らかに別の色を持って生きていることが鮮やかにみてとれるんですよね。柴咲さんが「おとわ」のキャラクター像をそれぞれ塗り分けてくださって、すごくありがたかったなぁと思います。実は現場で、柴咲さんをつかまえてまだ書いていない脚本のことを「この先はこうなるのよ」と話したことも(笑)。主演だからきっと不安もあるだろうと思っていたのですが、彼女のほうが私よりも全然どっしり構えていらっしゃいました、さすが殿!!

直虎と男たち

そんな柴咲さん演じる直虎と強いつながりがあった、直親、政次、龍雲丸。まず直親は許嫁(いいなずけ)と定められて、時が時ならごく自然に結ばれた相手、手に手を取っていけた相手です。

政次に関しては、女性として直虎を好きな部分と、主君として相対していかなければならない部分の葛藤が私的には好きな部分でした(笑)。ただ、直虎から見て彼はどうだったかというと、たぶんそれはいわゆる「恋愛」の対象ではないと思うんです。それよりももっと深い、ふたりにしかわからない絆がこの主従にはあるだろうという文脈で書いていました。

そして直虎が女性として惹(ひ)かれる相手は、いままで生きてきた世界とはまったく違うところから出てきた人であって欲しかった。それが龍雲丸です。井伊家は弱小だったとはいえ、武家として支配階級の中で生きています。だから直虎には全然違う生き方・バックボーンを持った男性、でも人としては大変共感する、好ましい、尊敬できる。そういう相手のことを好きになってほしかったというのはありますね。

また、直虎が一緒に生きてきた相手、恋をした相手というのは基本的に敵ではなかったじゃないですか。だから書き終えたあとに「もし直虎が今川氏真に恋をしたら一体どうなっていたんだろう?」と妄想したりはしました(笑)。史実にないってそういう感じなんです、いかようの線もたぶんありえるので、直虎が氏真に恋をするというのも、きっとそれはそれで面白かっただろうな…なんて。

登場人物たちが大好きで可愛くて仕方ない

「おんな城主 直虎」の好きなシーンを言い出すとキリがないので、ふたつ、印象に残っている場面を…。私、第43回で直虎が“甚兵衛の松”に問いかけたのち、ばーっとカメラがひいていくところがすごく好きなんです。あの時の直虎さん、身なりは村の女性なんですが、神々しく、大地に根が生えたような美しさを感じました。そしてそのちょっと前、直虎さんが「甚兵衛の松じゃ」と何度か甚兵衛さんに言ったところ。演じる山本學さんが「そりゃあ、こっぱずかしいのお」「やめてくだせえ」と照れて笑い、そのまま松を植える手を止めなかったんです。“あぁ、甚兵衛さんの性格だとそうだよね!ここで殿を見ないよね!”ととても興奮しました。

直虎さんをはじめ、登場人物たちはみんな大好きでみんな可愛いですね。可愛くて仕方ない。近藤(康用)さんも大好き!(笑)。ケガをしたあと、立ち上がれるようになったあたりからすごく好きなんです。政次の死のときには「お前を磔にしてやろうか!?」ぐらいの気持ちだったんですが、どんどんキュートになっていったので、橋本じゅんさんありがとう!という気持ちでいっぱいです(笑)。

そして、お気づきの方もいらっしゃると思いますが、各回のタイトルは、いろいろな名作からインスピレーションをいただきました。これはもう個人的にダジャレとか、パロディーがすごい好きで…(笑)。最初に「サブタイトルはこういうのじゃダメ?」と聞いたら「いいよ」と言ってもらえたので、やらせていただきました。すごく楽しかったです!ありがとうございました!

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