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年齢を重ねて、いつかもう一度直政を! [井伊直政役・菅田将暉さん]

ハイブリッドな万千代

撮影に入る前に直政のことを調べてみたら、徳川四天王の中では一番年下であるとか、外交に長けていたといった出世してからのことがいろいろと出ていました。下の者に厳しく誰よりも怖い“赤鬼”(笑)、それでいて童顔で背もそれほど大きくないとか。なんというハイブリッドさなんだと思いましたね(笑)。

実際に台本に書かれている万千代を読んだとき、直親の人たらし的なところ、但馬(政次)の冷徹で策略的な部分、さらに寺田心くんが演じた万千代の笑顔まで、僕が演じる万千代はそれまでの井伊家の人たちをみんな足したようだと感じました。まさにハイブリッド万千代(笑)。当時の家名は現代では想像もつかないほど重いもので、それを取り戻そうとする万千代のパワフルさは、そうしたものを踏まえたうえで出てくるのだと納得しました。

また、僕が登場するまでの井伊家が本当に悲しい空気に包まれていたので、ここでガラッと空気を変えなくはという思いもありました。ところが、万千代がいろいろなことに一喜一憂しながら戦っていく様が本当に面白い(笑)。ある種、台本通りに演じればいいんだとホッとしました。ただ台本に“般若顔”とあったときは「なんだ、それ!?」って(笑)。いろいろ調べまくって顔の表情筋をめちゃくちゃ使う僕なりの般若顔にしたんです。

初日は、もちろん緊張しましたが、家康の「わしの幼名の竹千代からとって井伊家が千年万年続くように千代を与える」という言葉にすごく感動しました。この人に認められたい、ついていきたい、支えたい。名前の重さ、大事なものをいただいたということが実感できました。もっとも、あのときの万千代は、まだ井伊を名乗ること、再興することしか頭になかったんですけどね。

万千代は現代でも成功者に

万千代を演じていて何がすごいと思ったかって、言われたことは死力を尽くして徹底的にやりきるところです。もともと頭の良い子で「さとい子じゃのう」なんて言われていましたが、それだけではない。相手には迷惑かもしれないぐらい、どんなことでもやりきる。真摯に取り組む姿が積み重なり、そしてそれをちゃんと見てくれている人がいる。そこの説得力が大きかったですね。たぶん万千代の才能だと思うのですが、たった一人でも決めたことはきちんと最後までがんばることができる。もの作りにおいても見習いたいところですし、たぶん生きるうえでも大切なことだと思いました。とはいえ、アピールが過ぎるところもあって、ちょっとうざいんですけどね(笑)。でも、きっと万千代は現代に生きていても成功する人間だと思います。一生懸命やるヤツって可愛いし、偉いですよね。

家康が認めてくれたときは本当に嬉しかったし、それを信じていたところもあったと思います。万千代にとって家康が大事な人であることは言うまでもないことですが、家康にとって万千代もそんな存在でなくてはいけない。そこが一番体感したいところで、阿部サダヲさんとはできるだけコミュニケーションをとりたいと思っていました。初共演だったのですが、僕が芝居のうえで何か仕掛けると必ずリアクションしてくれる。そんなお互いの攻防や、漫画のコマとコマとの間を埋めていくような作業が本当に楽しくて、とてもいい時間を過ごすことができました。

赤備えの甲冑に感動

万千代が一万石の知行を与えられて井伊谷に戻り、直虎と家督を巡って激しく口論したシーンは、僕自身モニターで見ていて感じるところがありました。小さいころは直虎を見上げていた虎松ですが、今は身長差があるから上から見て、なんとか対等になろうとしている。だけど、なんだか負けている(笑)。それは、そうですよね。でも、演じながら「絶対にこちらから目をそらしたくない」という感じになれたことはよかったです。台本に血が通い関係性が見えてくる。僕は後半の3か月だけの出演でしたが、因縁めいた感覚を気持ちのどこかに抱き続けることができて、とても印象に残ったシーンでした。

最後に、赤備えの甲冑(かっちゅう)を着ることができたのは本当にうれしかったです。ロケ当日、準備中に横にいた万福役の井之脇海くんが「やっと殿って言えますね」と、きらっきらした笑顔で言ってくれたときは感動しました。粋なこと言うなー、井之脇海やるなって(笑)。赤備え軍団は壮観でしたが、その一番大将だということに慣れなくて、とまどうところもありました。それでも結局、大将自ら飛び出していく。これからも風当たりの強い中、風を切り裂いて戦っていくんだろうと思い、最後まで直政らしいと安心しました。そして、いつかもう一度、直政を演じたいと強く思いました。年齢を重ね、体ももう少し大きくなり、ちゃんとひげも生え、シワも増えた時期に、もう一度赤備えの直政をやりたい。未来に続くような、これで終わりではないんだと思えた時間でした。

初めての大河ドラマ、そして時代劇でしたが、菅田将暉という人間の成長期にこの役をいただき、万千代の成り上がりとまさにリンクしていたこと。今この作品をやる意味とタイミングが一致していたことを実感できました。

公式HP&SNSをご覧くださったみなさまへ

SNSなどの反応からは、ドラマを見てくださったみなさんが、僕ら以上にいろんなことを想像してくれていることを感じることができました。これ、わかるかなと思いながら、少しだけ但馬っぽい仕草をしてみたら、ばちばちに伝わってた。みんなの「思い出したー」みたいなコメントを見るとすごいなって。共存している感じ、一緒に作ってくれている感じがありました。
また、登場したときは個人的には、今まで経験がないくらいプレッシャーがあったのに、みんなが「心くんと繋がっている」と書いてくれた。そのとき、許された感じがしてうれしかったです。政次が亡くなりロスの中で新しい時代を作ろうと思ってはいたけれど、そこにたくさんの方がついてきてくれた。本当に感謝です。