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自らの意志で未来を選択する 直虎から学んだことです [井伊直虎役・柴咲コウさん]

直虎の思いは万千代、そして家康へ…

万千代が登場して直虎に反発してくる姿は、まるで昔の直虎を見ているようでした(笑)。「諦めるなと言うたではないか!」とぐいぐい迫ってきて、でも万千代が必死になるほど直虎は冷静に「自分がすべきことは何だろう」と、ぐっと大人になる瞬間がたくさんあったと思います。対立する人間、それも身内という近い存在がいることで、自分の目標や生き方が実はきちんと見えたりするものなんですね。万千代役の菅田将暉さんは、本番の集中力がすごくて一気にボルテージが上がっていくんです。その勢いに、こちらが飲み込まれそうなほどでしたが(笑)、結果的にそれが万千代と直虎の良い対立を生むことになったと思います。

それにしても、直虎が身を引いて一農婦として生きることを決断したとき、まだ諦めていなかったのが南渓和尚でした。万千代をたきつけて「方法はあるぞ」と裏で指南したり(笑)。南渓和尚は反骨精神を与える役目で、万千代が大きく成長していくきっかけになったのでしょうね。

家康さんはこれまでの大河ドラマに登場された人物とは、趣の違うキャラクターだったような気がします。「戦うことが嫌い」という直虎と共通する思いがあったとはいえ、大きな国のトップが小国の主と会談するなんて本来あり得ない。そこに家康さんの器量、懐の広さがうかがえ、対面するたびに、お互い一人の人間としての会話をすることができました。その朗らかさ、ある意味のあいまいさ、ふっと懐に入り込める隙(すき)を作ってくれたのは、阿部サダヲさんのお芝居ならではのことだったのかなとも思います。

かつて輝いていた3人が再び

最後のシーンは、よくわからなかったです(笑)。人として生きていると、とかく理屈で物事を考えてしまいますが、そうではなくそこを超越した世界なのかなとも思いました。今回、たくさんお経を読ませていただいたり、仏門にふれたことで、人としての解釈だけで生きてしまうところもあるけれど、そうではない部分や場所、空間などもきっとあるんだろうなと。お経を唱えながらそんなことを考えることもあったので、現し身(うつしみ)を離れたときに「なんだ、こんなことだったんだ」とわかる世界があるような気がしていました。そういう意味ではしっくりきましたし、みんながそれぞれ一番良い時、輝いていたときの姿でいる素敵なシーンだったと思います。

ただ、最後に直親、政次と3人が集合したときは、少し照れくさかったですね(笑)。スタッフの中には涙ぐんでいる人もいて、こそばゆくもあり、でもみなさんが本当に愛を持って接してくれていたことを感じることができました。

最終ロケでクランクアップしたのですが、それまでは終わる瞬間というのをいろいろ想像していたんです。グッと来てしまうのかなとか(笑)。実際にグッとくる部分もありましたし、やはり1年以上一緒にやってきたスタッフと、ああもうこれでこのチームはバラバラになり会えなくなるんだと思ったら、少し寂しい気持ちも湧きました。でも、とにかく完走できたという喜びの方が強かったです。

すべてを終えて改めて感じたこと

戦国時代を遠い昔ととらえるのか、それとも今に繋がると考えるのか。時間軸の認識は人それぞれで違うと思うのですが、私にはついこの間のことのような気がして、今の私たちに関係のない話だというふうには思えませんでした。あえて戦国時代を切り取り、そこで「戦わない」という選択をして、がむしゃらに頑張った女性を主人公に据えた制作者の思いは何だったんだろうと考える部分もありました。

私は、この作品を通して自分たちがどんな意志を持って未来を選択していくのかということを学んだ気がします。また、人が生きるということは働くことだけではなく、どう暮らしていくのか、また人とどう関わっていくのかということ。その根本的な部分を改めて考えることができました。人を愛することや、愛する人を失いたくないという当たり前のこと。自分の中に理想があるのなら、そこに向かってどんな発言をし、何を選択して生きていくべきなのか。それが、とても大事なことだということを学びました。それは今後の私の人生にきっと生かされていくものだと思っています。

お経に触れることができたのも良かったです。お経は先祖を大事に敬うという気持ちの表れだと思うので、これからも触れ続けたい世界です。お経を唱えているとトランス状態じゃないけれど、心が凪(なぎ)のような状態になるんです。血糖値も血圧も下がるみたいな(笑)。そんな鎮静効果があるので頭の中が混乱しているときなどは家でも取り入れようと思っています。

公式HP&SNSをご覧くださったみなさまへ

公式SNSに反応してくださった方たちのコメントを拝見すると、キャラクター一人一人の細かい心の動きや、心境を汲み取り、さらに絵や文章にしてアップしてくださったり、それが、すごくうれしかったです。
SNSを駆使している方たちは面白いことをとらえて、さらにそれを拡散しようという力が強いので、私自身もずいぶん楽しませていただきました。ユニークなハッシュタグを見つけたときには、空き時間に面白トークを見ては、ほくそ笑んでいました。
ことに政次ファンの方たちの熱量がすごかったですね。ほんの一瞬の口角の上がり下がりすら見逃さない(笑)。でも、そこにみなさんの深い愛情を感じることができました。1年間、ありがとうございました。

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