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政次に寄り添って演じたい 小野但馬守政次役・高橋一生さん

真意がついに明らかに

直虎をはじめとする井伊の人々に裏切り者と思われていた政次ですが、その真意がついに明らかになりました。結果的に井伊を裏切ってはいなかったのですが、政次自身は「自分が裏切った」という感覚を持っているはずだと思っていて。直親の書状を寿桂尼に見せられて選択を迫られたとき、その瞬間は裏切らざるを得なかったわけですから。

しかし、思いがけず直虎から真意を言い当てられ動揺したものの、政次はいま考え得るベストの方法で直虎と向き合いました。目付としては本音を全部出してしまうわけにはいきませんから、できる限り本音を言いつつ、家老として、目付として、いろんな見地に立って総合的に答えを出した。それが戦わない道を選ぶということでした。

これまでも政次は、自分の思いと剥離しないようにしながら、味方をだまし続けてきました。すべての物事において常に表裏を使い分けなくてはいけない複雑な人間に仕上がってしまっているんです。それは今後も変わることがありません。僕はそんな政次を“よしよし”してあげたい。「がんばっていこう」って(笑)。そんな風になるべく但馬に寄り添ってお芝居ができたらと思っています。

政次の人間味

『おんな城主 直虎』では、最初の4話で後の直虎、直親、政次の子ども時代がしっかりと描かれているので、3人の幼なじみとしての感覚が色濃く残っています。最初からご覧になってくださっている方は、3人の本来の関係性がベースにあった上で、直虎に向き合っていく政次の姿を見てくださるはずです。そうなると、幼なじみとして直虎を心配し、できることなら守りたいと思った政次の心情をすんなり理解していただけたのではないでしょうか。

とても頭が良くて井伊をとり仕切ることもできるほどの優秀な人間なのに、おとわのことに関しては人間としてのもろさが出てしまう。考える以前に反射で動いてしまうことが多くて、それが不思議というか人間らしく、政次の面白いところでもあると思っています。

そうしたベースがありつつですが、実は直親が亡くなってから政次の本心が分かった今回の放送までは、直虎と同じ目線になってご覧いただけたらと思っていたんです。ノベライズ本も出ていて、先を読もうと思えば読めてしまうのですが、ドラマでは高橋一生という生身の人間が演じるので筋書きにはないものも見えてくるはずだと思っていて。

そうするともっと重層的にドラマを楽しんでいただけるのではないかと思っていたのですが、いかがでしたか?

半年間の積み重ねを経て

僕だけの感覚かもしれませんが、柴咲さんは僕の芝居を本当に細かく見てくださっています。以前は「政次はどう考えているんだろう」という感覚でお芝居をしてくださっていたのが、あるときから迷いがなくなったような気がするんです。「政次は大丈夫」だという感覚がその目に表れているから、僕も安心して本意とは真逆なことをお芝居で言うことができる。その通じ合いは半年間ともに演じてきたからこそだと感じるので、とても大事にしながらお芝居をしています。

18回で直虎と政次が対峙したシーンも、ちゃんと向き合えたと思っています。芝居はセリフの応酬ではなく、言葉の間や呼吸に本質が宿るものだと思っていて、行間、合間の余白の部分を、セリフをしゃべっていない間の目配せなどで伝えることにトライしていきたい。今回はお互い通じるものを確認しつつ、それができたと思っています。きっと柴咲さんだからだし、直虎だからできたことだと思います。