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落語家なのに黙ってお芝居!! 今川義元役・春風亭昇太さん

落語のすごさ、ドラマのすごさ

今川義元を演じるにあたっては、ほとんどセリフがないことに苦労させられました。話していないと自分の表情が分からなくなるので、本当に難しくて(苦笑)。そんな義元が雪斎と部屋でふたりきりになるシーンでようやくしゃべったんです。やっぱり噺家なので、しゃべらないとね!落語家をドラマに呼んでおいて、黙って芝居をさせるなんてどういうこと!?って、びっくりですよ(笑)。
落語には自分自身で作って演じる喜びがある一方、ドラマは出演者以外にも関わっている人がすごく多くて、複数で作るものの素晴らしさがありますよね。『おんな城主 直虎』に出演させていただいたことで、たったひとりで成立する落語のすごさを感じましたし、逆に落語をやっているとお芝居ってすごいなと思いました。今回は本当にいい機会をいただけてありがたかったです。

大河ドラマの現場を体感

落語以外では演劇への出演が年に二本ほど。映像作品にはあまり出ていませんでした。大河ドラマ出演は『軍師官兵衛』、『花燃ゆ』に続いて三度目ですが、過去の二作品はスポット参戦だったので、数時間でパッと撮り終えちゃったんです。でも今回は大河ドラマの現場をじっくりと体感することができました。スタッフの方々は本当に細かいドラマ作りをされていて、プロ意識の高いお仕事ぶりに頭が下がります。そうした現場にぽこっと入ると、僕自身もひたすら「しっかりしなくちゃな」という気持ちになりました。

今回は今川義元を演じられるというだけでもすごいのに、あこがれの甲冑を身につけることもできたんです。割と古風な大鎧でしたが、もう夢のようで自撮りしまくりましたよ! それに母親の寿桂尼を演じるのが浅丘ルリ子さん。とってもチャーミングでかわいらしい方でした。僕ら世代にとっては特別な方なので、一緒にお仕事ができるなんて親に言ったら卒倒するんじゃないかな。

ふたりともすでに亡くなっているので、倒れようがないけどね(笑)。

既存の今川義元像を変えたい!

織田信長は日本人が好きなヒーローベスト3に数えられる人物。これまで今川義元はそんな信長をヒーローにするための引き立て役でした。映画やドラマではずっと、弱々しい公家好みの軟弱な戦国大名として扱われてきたけれど、歴史好きな人なら、義元公はそんな人じゃないって分かっているはずです。

領国経営でも先進的なことをやっていますし、常識で考えれば駿河から三河にまで進出した戦国大名が軟弱なわけないですから。「信長公記」にも書かれているんですが、桶狭間で討たれたときに義元は、切りかかってきた相手の膝頭を逆に切り、最終的に討たれはしたものの敵の指を噛みちぎったといわれているんです。壮絶でしょう! ですから僕も、桶狭間のシーンでは織田の武将をたたき切ってやろうと思っていたんですが(笑)、今回は出陣するところまでしか描かれず…。とても残念でした。