東海 NEWS WEB
東海 NEWS WEBへ
WEBニュース特集
「畜光材」で避難誘導

(2017年1月30日放送)

災害は24時間いつ起こるかわかりません。
もし夜間に発生した場合、避難誘導に大きな力を発揮すると今、注目されているのが、蓄えた光をみずから放つ「蓄光材」です。
これまでの弱点を克服して開発された新しい製品によって、その用途が広がっています。
名古屋放送局の豊田美穂リポーターが取材しました。

新しい蓄光材の誘導標識

愛知県豊田市の足助中学校に設置された、この地域の緊急避難場所に指定されていることを示す標識、夜になると光ります。

暗闇でも、ここが避難場所だとはっきりわかる明るさです。
しかし、室内ではよく見かける蓄光材が「屋外」で使われるようになったのは、実は最近のことなんです。

従来製品は耐久性に問題

新しい蓄光材を開発した名古屋市のメーカーの社長、井上巧さんは、その理由について、「従来の製品は耐久性に問題があるからだ」と説明してくれました。

光る顔料は、太陽や蛍光灯などの光を吸収し、蓄えた光エネルギーを少しずつ放出する性質があります。
蓄光材の多くは、この顔料に樹脂を混ぜて固めています。

しかし、樹脂は紫外線に弱く劣化しやすいため、これまで蓄光材を屋外で利用するのは難しいとされてきました。

井上さんは「災害時や停電になったときに、屋外で避難場所まで誘導できること。太陽光や雨にさらされても長く使える。夜じゅう光っているという製品を作りたかったんです」と開発のきっかけを振り返ります。

試行錯誤で注目したのは

屋外で使っても劣化しにくく、また光も、より明るく長もちするものができないか。
井上さんは、4年ほど前から、樹脂に代わるものを見つけようと研究を始めました。

試行錯誤の結果、注目したのが「シリコン」です。
シリコンは紫外線に強く、劣化しにくい特徴があります。
顔料とシリコンの配合の割合や、シリコンを固める温度など、何度も調整して耐久性を高めました。

工夫を重ねて

さらに、薄さ0.3ミリほどの層を幾重にも重ねることで、閉じ込めた光を効率的に放出できるよう工夫。

12時間たっても必要な明るさを保つことができ、蓄光材のJIS規格も十分にクリアしました。

さまざまな場所で使用

こうして開発された蓄光材を使った製品は、早くも、さまざまな場所で使われ始めています。

こちらは、工場の敷地内に設けられた誘導標識です。
この工場は24時間稼働していて、敷地が広いので、夜、災害などで停電すると避難の目印がわかりにくくなります。
そんなとき、この光る標識があれば避難場所の方角もわかり、そこまでの距離も示されていて目安になります。

看板だけではありません。
こちらは高速道路のサービスエリア。
階段に取り付けられています。夜でも利用者が安全に上り下りできます。

自治体も注目

新しい蓄光材には自治体も注目しています。
導入に積極的なのが愛知県豊田市です。

避難場所であることを示す標識。
これまではソーラーパネルを使って、夜間は照らしていました。

おととしから、耐久性を高めた新しい蓄光材の標識に順次、切り替えています。
緊急時に避難場所となる小中学校や公園などのうち、8割まで設置が進みました。
今年度中に、市内122か所すべてで整備が完了する予定です。

豊田市防災対策課の深津拓也主事は「メンテナンスが簡単で、維持管理費が安価であることが決め手となって導入しました。夜間も安心してみなさんが避難できるよう、誘導していくことを考えています」と話しています。

「災害時に多くの人を救う道しるべに」と、さらなる普及が期待される電気のいらない光る標識。
東海地方の他、徳島県や和歌山県など南海トラフの巨大地震で大きな被害が予想される地域でも、設置が始まっているということです。

WEBニュース特集
このページの先頭へ