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地震に負けない屋根瓦

(2016年5月31日放送)

一連の地震で住宅の屋根に被害が相次いだ熊本では、梅雨入りを前に瓦の復旧作業が急がれています。
しかし、今回の地震を受けて、住民の中には瓦は地震に弱いというイメージを持つ人もいます。
こうしたなか、新しい工法で瓦の耐震化に取り組む愛知県の瓦業界を名古屋放送局・野村祐介カメラマンが取材しました。

相次ぐ被害

2度の大地震に襲われた熊本では、熊本城をはじめ県内で11万棟以上の建物が損壊し、瓦が割れたり落ちたりする被害が相次ぎました。
熊本では、昔から台風や暑さに強い瓦が多くの建物に使われてきましたが、今回の激しい揺れには耐えられませんでした。

住民に広がる不安

住民の中には瓦に不安を感じている人も少なくありません。
熊本県合志市にある住宅では、4月16日の本震で瓦の一部が隣の住宅に落ち、止めてあった車を傷つけてしまいました。

この住宅に住む人は、瓦から金属の屋根にふき替えることに決めましたが、「また迷惑かけたらいけないと思ったからです。瓦は今まで雨風から守ってくれたので、寂しい感じはしますね」と少し残念そうでした。

瓦メーカーの危機感

愛知県三河地方で作られる三州瓦は全国シェア70%を占め、九州地方にも多く出荷されています。
高浜市にある大手瓦メーカーで生産部長を務める石川大輔さんは、大きな地震が起きるたびに「瓦は地震に弱い」というイメージが強まっていることに大きな危機感を持っています。
阪神淡路大震災以降、瓦の受注は減り続け、今ではピーク時の約3分の1にまで減ってしまっています。

石川さんは「東日本大震災のあとも瓦離れがさらに深刻化して、非常に厳しい状況にあります」と苦しい現状を訴えます。

試行錯誤を重ねて

地震が起きても落ちない瓦にするにはどうしたらいいのか。
阪神淡路大震災のあと、地震の揺れに強い瓦の設計、施工方法を示すガイドラインが作られ、全国の屋根業者は瓦を耐震補強するために試行錯誤を重ねてきました。

愛知県の瓦組合が4年前に考案した工法では、地震で特に崩れやすい棟の部分を中心に、金属のネジで屋根全体を固定します。
新しい工法でふかれた瓦はどの方向に力が加わっても落ちません。

日本の家屋に最適

土を焼き固めて作る瓦は耐久性にすぐれ、雨風にも夏の暑さにも強いため、石川さんは瓦は今の時代でも日本の家屋に最も適した屋根材だと考えています。

「住宅の中で屋根というのは一番過酷なところにあります。雨、風、太陽から暮らしを守るのは屋根なのです。大切なところにはきちんといいものを使っていただきたい」とその思いを話します。

益城町の被災地を調査

耐震補強された瓦は今回の震度7の熊本地震に耐えられたのかを確かめるために、地震から1か月後、石川さんは現地の屋根業者とともに被害が大きかった熊本県益城町を訪れました。
調査の結果、地震に強い工法でふかれた瓦にほとんど被害は出ていませんでした。

石川さんは「十分な強度がある施工をされた屋根はあまり被害がないということが確認できたことは大きいと思います。施工というものは非常に大切だということを感じました」と確信を深めました。

改めて安全性をPR

高浜市に戻った石川さんは、熊本での調査を踏まえ地元のハウスメーカーに改めて瓦の安全性をPRしました。

石川さんは「瓦が持つ景観の良さ、耐久性の高い品質の良さ、総合的な面でも非常に日本の住宅にマッチした屋根材だと思っていますので、施工方法も含めて、瓦の屋根が安全であるということを業界全体でアピールしていく必要があると思います」と決意を新たにしています。
地震に負けない瓦へ。人々の暮らしを守るため、これからも模索が続きます。

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