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WEBニュース特集
リケジョバンク

(2015年4月2日放送)

科学や工学など理系分野で活躍している女性は、「理系の女子」を縮めて「リケジョ」と呼ばれています。
宇宙飛行士の向井千秋さんや山崎直子さん、それに、iPS細胞を使って目の網膜の組織を再生するという、世界初の臨床研究に取り組んでいる理化学研究所の高橋政代さんなど、多くのリケジョが活躍しています。
しかし長時間に及ぶ研究は体力的に厳しく、結婚や出産で研究を諦めざるを得ない現実があります。
そうしたなか、名古屋工業大学では、リケジョを支援する取り組みを始めました。
名古屋放送局の浅岡理紗リポーターが取材しました。

仕事と家庭の両立に奮闘

名古屋工業大学では、学内の研究者の9割が男性です。
しかし大学の力を高めるためには、女性ならではの視点が期待されています。
名古屋工業大学・工学研究科の助教で岐阜県に住む武藤敦子さんは、人間の行動などをもとに、新しいアプローチから社会のネットワークづくりを研究しています。
授業やゼミはもちろん、学生の論文指導も行います。
その合間をぬって、自分の研究や論文の執筆にも取り組まなければなりません。

武藤さんには保育園児と小学3年生の2人の子どもがいます。
武藤さんは子どもと過ごす時間も母親として大切にしたいと考えていますが、大学の研究者として、学術誌に論文が何本掲載されたかなど、研究成果を出さなければなりません。
武藤さんは「大学で仕事をやりきれないので、家で子どもが寝た後にやります。他の男性教員は夜遅くまで毎日論文を書いているので、このままではキャリアアップが遅れていくのではないかと感じています」と、家庭と研究の両立に悩んでいます。

大学がリケジョ人財バンク

こうした女性研究者を支援するための仕組みづくりに、大学が乗り出しました。
名古屋工業大学には、100年にわたって地域に根ざしてきた蓄積があります。
卒業生の多くは、地元の東海地方に就職したり生活したりしています。
そこで大学では、去年12月にリケジョの人材バンクを作りました。
名古屋工業大学では、人は財産であるという思いから「人財バンク」と名付けました。
高い専門性を持ちながら結婚や出産などで一線を退いた元リケジョを活用しようと考えました。
こうした女性たちに大学の人財バンクに登録してもらい、学内の女性研究者の専門分野と照合します。
双方の条件が合えば、研究支援員として派遣します。
武藤さんは、この人財バンクを通して支援員を派遣してほしいと最初に手を挙げました。

支援員第1号

第1号の支援員としてやってきたのは、名古屋市に住む坂田美和さんです。
育児が落ち着き、8年ぶりに仕事への復帰を希望していました。
坂田さんは武藤さんと同じ学科を卒業していて、専門知識があります。
研究内容を理解できるため、武藤さんの研究に必要なデータや情報を集めることができます。
武藤さんは「とても助かってます。長い目で見ると、論文の数はこれまでより増えると思います。2倍くらいになると嬉しいですね」と、この人財バンクに期待を寄せています。
一方、リケジョの人財バンクは、離職したリケジョに復帰を促す仕組みでもあります。
第1号の支援員となった坂田さんも、「もう研究分野では活躍できないと思っていましたが、また戻ることができて、時間と自分の満足度の両方が得られて嬉しい」と話し、自分の能力を発揮できる場所を改めて見つけることができてやりがいを感じています。

OGを探せ

このように女性研究者からは支援員に期待する声が上がっていますが、3月半ばまでに人財バンクに登録したのは11人にとどまっています。
このため大学では、さまざまな研究分野で支援員を探しています。
大学では、女性研究者が活躍できる環境を整えることは、研究、教育機関としての大学の使命にもつながると考えています。
名古屋工業大学・男女共同参画推進センターの藤岡伸子センター長は、「工学というのは、人々の暮らしを豊かにする使命があります。いろいろな視点が入らないと、いろいろな技術を生み出すことはできません。もっとリケジョが活躍することでみんなが幸せを享受できる社会を作りたいと思っています」と、話しています。

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