先のことは分かっても、足元のことはなかなか分からない。ずっと先になって振り返ってみた時、今の時代は色んなことが大きく変わっていた転換点だったと記憶される、そんな気がしてなりません。この時代をきちんと記憶しておくべきだという思いに駆られて、ドラマを作っています。
今回制作するテーマは建設業界の「談合」です。自由競争の時代に入り、厳しいルール改正もあり、2005年くらいから世の中からバッタリと姿を消しました。その裏である者は汗をかき、ある者は血を流しました。
私がドラマで描きたかったのは、「談合」への評価が「最も公平な利益分配のやり方」から「犯罪」へと変わる中で、当事者たちは何を考え、何を感じていたのかということです。様々な事実が忘れられていく中で、当事者たちの思いをきちんと刻んでいくことがドラマの役割だと思うからです。
池井戸潤さんが書かれたこのドラマの原作「鉄の骨」は非常に示唆に富んだ作品で、私たちにドラマの切り口を与えてくれました。それは小池徹平さんが演じる富島平太という若きゼネコンマンの視点です。彼がこの転換期をどう見て、何を感じるのか?本当の平太のドラマはこの経験を糧にどう生きるかですが、それはまた先の話で、この作品では平太の成長とともに、彼の怒りや痛みを通して描く「談合」崩壊に直面する様々な人間模様を、リングサイドの最前席でじっくりと見て楽しんでください。 |