CAST

山本美月

ナゴヤ自動車に入社して3年、まだまだ修業中の女性カーデザイナー。
室内インテリアや色使いを担当する女性が多い中、
白雪はあくまで自動車の外形デザインにこだわっている。伝説の名車・ナゴヤ2000GTこそが彼女が作りたいスーパーカーの、究極の理想像なのだ。

白いレーシングスーツの男(唐沢寿明)

ナゴヤ2000GTの運転席に忽然と現れたかと思うと、自動車たちの魂を次々と覚醒させる謎のレーサー。
真夜中のナゴヤ自動車博物館に君臨する帝王的存在らしい。白雪とリカルドを幽閉した彼が「走る快楽こそが自動車の醍醐味」と信じる白雪に突きつけた挑戦とは?

リカルド(上遠野太洸)

一見普通の日本人青年だが、実は日系ブラジル人
4世。バブル期は家族揃って日本で暮らしていたが、リーマンショック以降不仲な両親がブラジルに帰国。祖父と二人で暮らしていたが学業も仕事もうまく行かず、自分もブラジルに帰ろうと決心。「最後の仕事」に賭ける。

警備員・福谷(大森博史)

今でこそナゴヤ自動車博物館の警備員だが、実はどうやらナゴヤ2000GT開発の真相を知る生き証人のひとりらしい。その険しい表情を彩る火傷の跡には、どんな事情が隠されているのか?
警備員の仕事を「墓守り」と称する彼が知る、真夜中の博物館の秘密とは?

ヒメ(MEGUMI)

戦前の映画女優のようなエレガントな出で立ちで、
真夜中のパーティーの華として振舞う謎の貴婦人。
魅惑の曲線美を誇る1930年代の流麗なフランス製
クラシックカーから忽然と現れた彼女のシンボルカラーは、クルマと同じくメタリックな深いフレンチ・
ブルーだ。

エビス(深沢 敦)

愛らしい真紅の小型車から忽然と現れたヴォードヴィルのコメディアンのような謎の男。ドイツの飛行機メーカーが戦後、戦闘機のシルエットをそのまま踏襲して製作した丸みを帯びた車体の特徴そのままの出で立ちの彼のシンボルカラーは、クルマと同じ鮮やかな赤。

アニキ(水木一郎)

巨大なテールフィンやジェット機の噴射口を模したテールライトも誇らしげな、50年代を象徴するアメリカ車から雄叫びも高らかに降り立ったエンターティナー。真夜中のパーティーが最高潮に達する頃、彼の歌声が博物館を覆いつくす。シンボルカラーは、
パープル。

リカルドの祖父(団 時朗)

日系ブラジル人2世。家族を養うために日本に出稼ぎに来て、自動車の工場や修理工場を渡り歩いてきた。長いキャリアを積む中で、ハンマーひとつで板金からさまざまな形を叩きだすことが特技となった。
常に白い軍手をはめているが、それには何か秘密があるらしい。

STAFF

會川 昇

作/
會川 昇

1965年8月9日東京生。
学生時代からアニメ、特撮、映画などの雑誌「宇宙船」「アニメック」「B-CLUB」他で
ライターとして活動。テレビアニメ「亜空大作戦スラングル」(1983)で高校在学中に
脚本家デビュー。
二十歳の頃に「特捜最前線」のプロット募集に入選、ドラマ化される。
オリジナルビデオアニメ「うろつき童子」「吸血姫美夕」「THE八犬伝」、テレビアニメ
「超音戦士ボーグマン」「疾風!アイアンリーガー」「機動戦艦ナデシコ」
「鋼の錬金術師」「コンクリート・レボルティオ超人幻想」、
特撮ヒーロー「ウルトラマンG」「仮面ライダー剣」「轟轟戦隊ボウケンジャー」など、
三十年以上にわたって作品多数。NHK作品としては「機巧奇傳ヒヲウ戦記」「十二国記」が
ある。
現在は小説も精力的に執筆する一方で「SFマガジン」「特撮秘宝」などに寄稿している。

ゲイリー芦屋

音楽/
ゲイリー芦屋

1966年、東京都出身。90年代より作曲家・編曲家として映画、ドラマ、舞台の音楽など多岐にわたって活躍している。おもな映画担当作は『CURE キュア』(97)、『カリスマ』
『呪怨(ビデオ版)』(99)、『LOFT ロフト』(05)、『サラリーマンNEO劇場版(笑)』(11)、『ニシノユキヒコの恋と冒険』(14)、『望郷』(17)など。ドラマ劇伴としては『料理少年Kタロー』(01)『戦艦大和のカレイライス』(14)など多数。15年には映画音楽作品集「ウラムの螺旋」をリリース。
作家としての活動の傍、岸野雄一、Aliとの映像音楽ユニット、ヒゲの未亡人のメンバーとしてアルバムをリリースするなど精力的に活動している。

演出/大橋 守

制作統括/吉永 証

※NHKサイトを離れます
山本美月

山本美月さんからのメッセージ

初めてテレビドラマで主役を演じさせていただきます。アニメの世界のようなファンタジックな要素が満載の作品です。私が大ファンのアニメ 『鋼の錬金術師』を書かれた會川昇さんが今作の脚本家と伺い、納得しました!
今のところポスター撮影をしただけですが、オーダーメイドで二ヶ月かけて作っていただいた衣装のレーシングスーツはサイズぴったりでとても動きやすくて、私だけのもの、という印象を受けました。初めて写真で見た2000GTは思っていたよりレトロで丸っこくてかわいかったです。台本に当時の世界記録を樹立した、もの凄く速いクルマと書いてあったので、もう少しシャープな形を想像していました。自動車に関してはなかなか知る機会がなかったので、専門用語だったり、自動車の部品等の名称を覚えるのは苦労しそうですが、これから勉強していきます!

唐沢寿明

唐沢寿明さんからのメッセージ

今回は、日本の誇る名車2000GTを題材にした作品ということで、ぜひ出演させていただきたいと思いました。それほど、この車は僕にとって思い入れのある車です。
僕がこの車の存在を知ったのは、小学生の頃。
池沢さとしさんの「サーキットの狼」という漫画にハマり、友達が外国生まれのスーパーカーの話で盛り上がっているなか、漫画の中では悪役が乗っていた2000GTが日本車だと知り、外国車勢の中でも負けることのない個性を放っていたことに興味を惹かれました。
オーナーとなってからは、クラシックカーならではの苦労もありましたが、いい仲間との出会いもあり、今ではいつでも乗り出せる状態です。
この車で走っていると、一般の方々から手を振っていただいたり声をかけて貰ったりするのですが、そのとき皆さんが笑顔で接してくださることが、この車を愛する者としては、嬉しいですね。
2000GTは日本の文化遺産であると思っています。ですから、これからもできるだけ大事に乗って、大切にしてくれる次の世代に残していきたいです。
今の車と比べたら決して早い車ではありませんが、乗っている時は何故か日本人としての誇りみたいなものを強く意識させられるので、不思議な車ですね。

會川 昇

會川 昇さんからのメッセージ

ディレクターの大橋守さんとは、これが二作目となります。前回は広島発の「戦艦大和のカレイライス」、そして今度は名古屋発。特撮や古い邦画など共通言語が多い大橋さんを、そもそも紹介してくださったのは、特撮研究家の池田憲章さんでした。作品歴を見ていただければおわかりの通り、私の仕事は圧倒的にアニメや子ども向けのヒーローものが中心です。そうした作品群に関わっている当事者とすれば、子どもやアニメファンの好きな作品に向ける眼は、大人のそれよりもはるかに厳しく、それに応えるために技術を磨いてきた自負があります。しかし実際にはそうした作品の脚本家は、そちらに専従していると思われるのか、地域発ドラマに限らず所謂「普通のドラマ」の仕事には殆どお声がけいただけなくなります。酷い場合には、普通のドラマの脚本家より一段下であると思われていることすらあるのです。幸いにも大橋さんはそうした偏見をお持ちでなく、こうしたファンタジー要素が入る作品に適任であると考えて起用してくださっています、それが嬉しくてついつい慣れない仕事ですが引き受けさせていただいています。


ファンタジーにしてもSFにしても、単なる絵空事ではなく、その歴史を遡れば様々な社会的なテーマを比喩的に描くために生まれてきたという側面があります。当然私たちのドラマもただ楽しいだけのファンタジーではなく、現代のなにかを描くために敢えて選んだ方法であり、武器なのです。どちらが言い出したことか忘れましたが、今回重要な登場人物として日系ブラジル人を扱うことは最初から決めていました。90年の規制緩和によって日系人は、それ以外の外国人よりも就労ビザの獲得が容易になりました。しかしいかに血縁があっても、移民してその国の市民権を獲得してきた日系人は、本来他の外国人と変わるところはありません。日本にはヨーロッパのような移民問題は無いと言われますが、それは詭弁に過ぎず実際には私たちには見えない形で実質的な「移民」は存在しているのです。それはいま、どうしても考えてみなければならないテーマであると私たちには思えました。


一方、唐沢さんと同じく、私も漫画「サーキットの狼」でトヨタ2000GTという幻の名車の存在を知った世代です。かつて日本に、世界最高峰のスーパーカーがあった、その事実は子どもの私たちの心を沸き立たせ、大きな夢を抱かせてくれました。しかし現代にあって、日本の若者は「夢」を持つことが難しくなったと言われます。いや、現代に限らず、いつだって現実は若者の夢の前に大きな壁となって立ちはだかります。そんな壁に押しつぶされそうになっている、平凡な若者の一人として主人公・白雪を設定しました。彼女はかつての夢を追い求め、トヨタ2000GTを至高の存在として崇めています。しかし現実にはどうであったのか。トヨタ2000GTとは、本当に技術者の夢の結晶であり、現代ではあり得ないような潤沢な予算とスケジュールの中で作り上げられたものだったのか……。確かに現実は常に過酷です、しかし私たちはそれを理由に安易に夢を手放してはいないだろうか。現実と折り合いをつけ、それでも夢を失わないこと、それが社会人として「仕事」をしていくことなのかも知れない。そんなことがもう一つのテーマになりました。自動車博物館と日系ブラジル人社会の対比は一見安易な繁栄と貧困の対比に見えるかも知れません。しかし単純な二極分離と対立を煽るのではなく、その両者にある共通点を探ることが最も腐心した点です。


トヨタ博物館の取材の際「実際にいま、2000GTのような車を作りたいなんて言ってくる新入社員はいらっしゃるんでしょうか」と訊いてみました。もしかしたら私たちはとんでもない認識間違いをしているかも知れないと不安になったからです。その答えは――「そんな奴ばっかりですよ(笑)」。そのとき、私たちのドラマは走り出しました。

ゲイリー芦屋

ゲイリー芦屋さんからのメッセージ

車と音楽は切っても切れない関係にある。車は最高のリスニングルーム…とはよく言われたものだ。またかつては自動車の販促用として数多くのソノシートが制作され、その多くはその時代を象徴するような洗練された音楽だった。例えば浜口庫之助が作曲した三菱自動車ランサーセレステのCMソング『私のセレステ』や鈴木コルゲン宏昌作曲の日産サニーのイメージソング「何かが呼んでいる」などなど…車が開く未来への可能性を予感させる様な洒脱なソフトロックサウンドは枚挙にいとまがない。

私自身、2003年に渚ようこのシングルとして2000GTのCMソングが当時もし作られていたとしたら?という設定で「CM song for TOYOTA2000GT」を作ってしまったのだが、その曲はまさに70年代風ソフトロックサウンド、というか万博歌謡ど直球。この曲のPVを作る時に実際に疾走する2000GTと渚ようこ…というコンセプトも俎上に上がったのだが予算の都合で実現はできなかった。


それが2018年思わぬ形で再挑戦させて貰えたのが『真夜中のスーパーカー』の音楽である。

疾走する2000GTに今度はどんな音楽をつけるか?…いやはやこれほど自明な問いがあるだろうかと何の迷いもなく私がチョイスした音楽は70年代のクロスオーバーなジャズサウンド一択。これしか有りえない!

大橋監督との打ち合わせでもお互い開口一番に飛び出た映画は「ヘアピンサーカス(72年・西村潔監督 音楽・菊池雅章)」だったし、マルコス・ヴァーリが全編作曲を手がけアジムスが演奏した「ファブローゾ フィッティパルディ」のサントラ、ラロ・シフリン、そして勿論大野雄二氏、映画「サーキットの狼」の音楽を担当した鈴木宏昌氏、「グランプリの鷹」の宮川泰氏など70年代後半のコンボを主体とした劇伴など多くを参照した。かつてスーパーカーブームの頃、小学生だった私が当たり前のように享受していた「カッコいいサウンド」とはまさにこういった音楽だった。


カーレース、カーレーサーはなぜかソフトロック、ボサノヴァ、クロスオーバージャズを連想させる。作曲家で言えば三保敬太郎、そして三保敬太郎といえば2000GTの1966年のスピードトライアル挑戦ドライバーの一人だった福澤幸雄を思い出す。モデルでありカーレーサーであった福澤さんは実は帰ってきたウルトラマンの郷秀樹のモデルだったんじゃないだろうか?と私は勝手に思い込んでいるのだが、それは団次郎さんのシングル「甘い予感(70年村井邦彦作曲)」が洒脱の極みのような極上のボサノヴァの名曲だったから。

洗練された音楽とカッコいい車はいつの時代も切ってもきれない関係にあったのだ。


今回、先人たちの偉業にどこまで肉薄できたかはわからないが、少なくとも私自身の中にあった2000GTの音楽は出し切った、と断言できる自信作に仕上がった。大体私はスタジオでレコーディング中にあまりに最高すぎると湧き上がる感情を抑えきれず笑い出してしまうか、泣き出すかどちらかなのだが今回はずっとニヤニヤしっぱなし。劇中最大の見せ場の2000GTとLFAのレースバトルシーンのテーマ曲の録音中エレピのソロが走り出した瞬間に嬉しくてやっぱり笑い出してしまった。


スーパーカー世代のご同輩も、そうでない若い世代の視聴者の皆さんも、懐かしくもどこか新しい風味に仕上がった『真夜中のスーパーカー』の音楽にも注目して頂けたら作曲家冥利につきるのではないかと思っている。ご期待を!

大橋 守からのメッセージ

その地域の特産物や観光資源などを題材に作られるのが地域発ドラマ……というわけで
「愛知発地域ドラマ」が自動車産業を取り上げるのはごく自然な成り行きでした。カメラを
向ければそのままドラマの舞台になる景勝地で撮影するのが定番ならば、「自動車博物館」
は「どこを撮っても面白い」最高のロケセットになります。映画『ナイト・ミュージアム』
みたいな話が作れるかも……と最初はすこぶる軽いノリで構想を開始しました。ところが
「2017年は名車・2000GTが販売されて50周年」と知り、小学生時代に熱中したスーパーカ
ーへの思いが突如、再燃。ヨーロッパの名車たちと拮抗しうる唯一の国産スーパーカー・
2000GTが誕生した経緯を調べると、あまりにもドラマチックで面白くて、驚きました!
「2000GTが爆走するドラマ」を作ろう……見境もなく、そう決心しました。周囲の誰もが
口をそろえて「面白い」「観たい」と言ってくれました。しかし相手は50年前のクラシック・
カー。たった337台しか製造されなかった幻の名車です。どうすれば撮影が実現できるか見
当もつきません。でも不思議なことに、次から次へと素晴らしい出会いに恵まれました。
「2000GTがドラマになるの? 本当に!?」と、誰もが笑顔を見せてくれました。長い間、
名車・2000GTに魅せられた多くの人々が、ご出演やご協力を承諾してくださいました。
2000GTは、今でもたくさんの人々から愛され続けていることを実感しました。その結果、
私の当初の想像を遥かに超えたゴージャスな規模で撮影を実現することができたのです。
ご出演、ご協力いただいた皆様にこの場を借りてお礼を言わせてください。本当に、本当に、
ありがとうございました。このドラマは「理想と現実との間にギャップを感じながらも、
そこに踏みとどまって、日々自分の仕事に精進する全ての皆さん」への応援歌のつもりで、
作らせていただきました。ぜひご覧くださいませ。

吉永 証からのメッセージ

クルマには、顔つき、表情があります。特に昔のクルマはそうです。作った人の思いや、こだわりが込められた顔をしたクルマを見ていると、生きているような―魂を感じます。そんなクルマが収められているナゴヤ自動車博物館。若い白雪(山本美月さん)とリカルド(上遠野太洸さん)は、そこで、クルマの魂である化身たち(思いっきりファンタジーです!)に出会います。化身の隊長は伝説の2000GT(唐沢寿明さん)。いきなり二人の前に、壁のように立ちはだかります。でも、彼との出会いで、白雪とリカルドの二人は、これから自分たちが生きていく上で大事なものを手に入れることになるんです。それは何か?そこは是非ドラマをご覧になって、ご自分の目で確かめてください。よろしくお願いします!