私は、終戦の時には5歳でした。防空壕の中からB29を見た記憶のある、今となっては数少ない世代です。今はパソコンやインターネットで世界中の人と瞬時に話ができると言いますが、このドラマの時代では親子や友達との関係が非常に濃密で、時間の長さ間も非常に濃く過ぎていくという時代でした。満州から引き揚げてきた人たちを迎えたことがありますが、小学校の先生に「満州の人たちは苦労しているんだから、お前たちは軟弱だ」と言われたのを憶えています。軟弱な世代をもう何十年もやってすっかり軟弱になりましたが、こういう本を読ませていただくと、この時代の少年や青年たちはどれだけの思いで時間を過ごしていたのかと改めて気付かされます。「お国のため」と言いますが、本当はお父さん、お母さんのため、友達のためだったと思うんです。そういうこともこの話の中には出てきて、あの頃の少年たちは何と輝いていたんだろうと思いますし、教えられもします。
 戦争が終わって時間が経つとだんだん忘れていきますが、時間が経てば経つほどこういう作品を年に一度は作ってほしいですし、また出演できてうれしく思います。みなさんに見ていただければと思います。作品の中で、光男(太賀)のお母さんが「私に学問があれば、あの子を死なせずに済んだんですかね?」というと、正美が答えて「いいえ、学問がなかったのは、この国です」というやりとりがありますが、こういう国にならないようにみんなでしっかりと支えていかなければならないんじゃないかと思います。ぜひ見てください。