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大相撲・魁勝 "強気"でことしにかける

2023年1月19日

1月8日に初日を迎えた大相撲初場所。愛知県出身で唯一の関取として臨んでいるのが魁勝(西尾市出身)です。西十両13枚目と十両の下位から巻き返しを誓う2023年、魁勝のことしにかける思いをスポーツ担当の亀蔦なごみキャスターが聞きました。

ことしの目標は"強気"

愛知県西尾市出身の十両、魁勝。番付発表前に、東京・両国にある部屋での取材を快く受けてもらいました。午前8時、部屋を訪れると、稽古場から大きなかけ声が。魁勝をはじめ10人ほどの力士たちがすでに稽古をしていました。スクワットやすりあしなど下半身を鍛えるトレーニング。冬場にも関わらず大量の汗を流しながら行っていました。稽古が終わったあと、インタビューの時間を設けてもらい、さっそく色紙にことしの目標を書いて下さいとお願いしました。

魁勝が書いたのは"強気"の2文字。この2文字をあげた理由、そこには去年の悔しい経験がありました。

去年は弱気の相撲・・・

魁勝は、おととし、新十両からふた場所連続で勝ち越し一気に十両2枚目まで番付をあげていました。このころは持ち味である、相手のまわしをぐっとつかんで、どんどん前にでる相撲を思う存分に発揮していました。

しかし、去年は魁勝にとって試練の1年に。入幕を前にしたプレッシャーからか、弱気の相撲が目立ちはじめ初場所で勝ち越したのを最後に5場所連続で負け越してしまいました。聞きにくい質問ですが、ぶつけてみると魁勝はこう答えました。

魁勝

「うまくいかないというか悔しい1年になってしまいました。"連敗癖"というか負けるとずるずるいっちゃう。自分の相撲に自信が持てていない」

勝ち越しがかかった取組で、なんと1勝6敗。勝負所で力を発揮できない相撲が続いたのです。幕内一歩手前でずるずると後退してしまった魁勝。自分の課題をしっかりと認識していました。

元大関魁皇が弟子に伝えるものとは

師匠の元大関魁皇の浅香山親方は弱気な発言をする魁勝を歯がゆく思っていました。

浅香山親方

「(負けたとき)本当にこれでもかっていうくらいの落ち込み方をするときもあるので、急激に力が落ちたとかそういうわけではないとは思うんですけどね。ほぼほぼ気持ちの問題だと思う」

大関・魁皇は優勝5回を誇る名力士でした。39歳で引退するまで自分の相撲を信じて大関の地位を守り続けた、その土俵での経験を伝えています。

浅香山親方

「例えばきょうみっともない相撲で負けたら、あした思い切って相撲とろうとか、その程度でいいと思う。どんなことがあっても胸張って力を出して、勝とうが負けようが自分の相撲をとりきる」

自分の相撲を貫くためには厳しい稽古が必要だと、魁勝は基礎的な稽古を怠りません。ダンベルを持ってすりあし。そばで見守る親方からは厳しい声がかかります。

浅香山親方

「おまえなんか違うんだよ。ここでしっかりとやってここでこういう風にあげるんだよ」

理想とする"前に出る体"を作るため、親方の熱心な指導を受けて稽古に励みます。その指導はちゃんこの場面でも・・・。

浅香山親方

「もっと明るく飯食えよ」

魁勝

「明るく? そう言われましても」

浅香山親方

「もっと胸張って 飯食えっちゅうんだよ」

魁勝

「ステーキとかないと・・・」

浅香山親方

「こんなこと言われた、あんなこと言われたとかじゃなくてなにくそってやっぱり思って乗り越えていかないと。なかなか成長しないぞ」

魁勝

「まだまだ弱いので」

浅香山親方

「弱いのでって自分でそういうこと言っちゃうからだめなんだよ」

魁勝

「強いんで」

浅香山親方

「そうだよ。そうやっていっとけ」

親方なりの愛のある声かけで魁勝の表情もしだいに緩んできました。最後に強気で挑むと話してくれた魁勝に具体的な目標を"強気"で答えてもらいました。

魁勝

「去年は自分の相撲がほとんどお見せできなかったので勝ち負けうんぬんはもちろんなんですけどもっと一気に前にでて、寄り切るような相撲を一番でも多くとれればなと思います。とりあえず新入幕、三役を目指して頑張りたいと思います」

取材を終えて・・・

コロナ禍でオンラインでの取材が続いていましたが今回、初めて部屋での取材が可能となりました。初めて間近で見る稽古は、とても迫力があり、魁勝はひとつひとつの動作を丁寧に行ってるのが印象的でした。その背中からは、ことし絶対に番付を上げるんだという覚悟がかいま見えました。また、ちゃんこの場面では、魁勝の性格を理解している親方の声かけが、とにかく愛にあふれていて、強い信頼関係を感じました。親方という強力な味方に支えられながら"強気"で今場所に臨んでいる魁勝。地元から応援しています。

筆者

亀蔦なごみ(NHK名古屋放送局スポーツキャスター)

愛知県東海市出身

昨年度からスポーツコーナー「月スポ」「金スポ」を担当し、プロから地域のスポーツまで取材をしています。
趣味はもちろんスポーツ観戦!
中学高校6年間ソフトボールをしていました。