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昭和レトロなグラスを復刻!SNS活用で令和に

2023年2月27日

今回の「東海すごいぜ」は、今、ブームになっている「昭和レトロ」。時代とともに消えてしまったレトロなグラスをSNSを使って、令和の時代に復活させたすごいぜです。

(NHK名古屋 北澤実季)

昭和の雰囲気がある喫茶店。今日のすごいぜは、クリームソーダではなく、飲み物が入っているこのグラス。実は昭和40年代の家庭用グラスのデザインを復刻させたものです。

お客さんの反応は?

「昭和レトロっぽくてかわいいなと思います。小さい時に家にあったので、懐かしいのもあるし、今見ると新鮮だし」

このグラスを復刻させたのは、老舗のガラス食器メーカー。創業は、江戸時代後期の文政2年。200年以上にわたって、業務用や家庭用のグラスなど、さまざまな製品を作ってきました。

そうした中で、今注目されているのが、花や動物などかわいらしいデザインがプリントされているものです。

仕掛け人を訪ねてみると、意外にも若手社員でした。5年前、自分たちが作っているものがどのくらい世の中に届いているのか、SNSで調べてみたところ、思わぬ発見をしました。

桐本さん

「今のグラスっていうよりも昔の古いグラスがたくさんアップされていて」

杉本さん

「復刻させたらすごく喜ばれるんじゃないかなと思いまして」

古いグラスが作られていた昭和40年代は、経済が成長し、日本人の暮らしが大きく変わった時代。西洋化が進み、ちゃぶ台からダイニングテーブルに。ガラス食器が普及したのもこのころでした。この会社では、当時流行していた身近でポップな花柄を食器にも取り入れて販売。華やかさが演出できると人気を集めました。しかし、時代の変化とともに、廃版となっていったのです。

意外な発見をした2人。「あえて古いデザインがかわいい!」と直感。50年近く前のグラスの復刻版を提案します。しかし、大きな問題がありました。

杉本さん

「当時のデザイン画は全く残ってない状況でして・・」

そこで、協力してもらったのはSNSでつながった人たち。名付けて「再会チャレンジ」。当時の6種類のグラスを貸してほしいと呼びかけたところ、多くの反響があり、わずか2週間で、すべてのデザインを集めることができました。

いよいよ復刻開始。当時のデザイン画が残っていないので借りたグラスに、トレーシングペーパーを巻き付けて手作業で写し取りました。その作業の中で、あることに気が付きます。

杉本さん

「よく観察すると絵の具の色がずれてたりとか、線がまっすぐではなくてゆがんでたりするっていうところがありまして。今ほど印刷技術が発達していなかったためだと思うんですけど」

今の技術では、ずれも直すことはできますが、あえてそのまま生かしました。

企画を提案してから、およそ1年半。ようやく、復刻版グラスを世に出すことができました。年間10万個売れればヒットしたといわれるこの業界で、誕生から4年間で120万個も売れて、今もファンが増え続けています。

この復刻したデザインは、グラスだけにとどまっていません。文房具や眼鏡ケース、エプロンまで。これまでに30社以上とコラボレーションしています。

桐本さん

「レトロブームっていうので、ブームっていう言葉は一過性のものに使われて過ぎ去ってしまうものだと思うんですけれども、カルチャーにしていきたいなっていうのを話しています」

杉本さん

「麦茶を入れたりジュースを入れたりとしただけでも華やかになるので、やっぱりおうちでもどんどん取り入れてもらって楽しんで使ってもらいたいなって思っています」

筆者・取材後記

NHK名古屋 北澤実季

今人気となっている復刻グラスですが、最初企画を提案した時は、通らなかったそうです。世代間のギャップがあり、理解を得られなかったのだとか。求められていることを数字で証明して販売にこぎつけたのだそうです。昭和生まれは「懐かしい」平成生まれは「かわいい」などと感じるグラス。世代間をつないでくれているのかなとも感じました。