ページの本文へ

  1. トップページ
  2. ニュース特集
  3. ことしにかける 海外での飛躍の年に ピアニスト亀井聖矢さん

ことしにかける 海外での飛躍の年に ピアニスト亀井聖矢さん

2023年1月5日

ピアニスト亀井聖矢(かめい・まさや)さん。去年11月にフランスで行われたロン・ティボー・クレスパン国際コンクールで優勝した、今もっとも注目を集める若手演奏家のひとりだ。

愛知県一宮市出身の21歳。県立明和高校から"飛び入学"で桐朋学園大学に進学し、17歳で日本音楽コンクール第1位とピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリを獲得。そして去年、初めて国際コンクールに挑み、大きな結果を残した。

亀井さんは、2023年にどんな展望を抱いているのか。NHK名古屋のスタジオで、高山哲哉アナウンサーが話を聞いた。

大学卒業に向けて

この春、亀井さんは桐朋学園大学を卒業する。残りわずかとなった大学生活について聞いた。

「まもなく卒業試験があり、それが無事に終われば卒業ということになります。卒業試験は演奏の実技です。課題曲や日程が決まって、それに向けて準備しているところです。

副専攻の作曲では、最後の課題としてピアノ協奏曲を書いていて、まもなくそれが仕上がるところです。

作曲を学んだことは、演奏にもいい影響があったと思っています。自分で作曲をすることによって、作品をより深く理解するヒントになりましたし、逆に演奏することが、作曲のヒントになりました。演奏と作曲が、相互にいい影響を与えられていると感じました。

大学の4年間は、満足な時間でした。たくさんのことを勉強できましたし、いろんなことに挑戦して、本当に楽しい充実した4年間だったと思います」

憧れのフランスに留学

大学を卒業後、亀井さんはフランスへの留学を計画している。憧れの国で学べることに、亀井さんは期待を膨らませている。

「フランス音楽が大好きですし、今回フランスのコンクールで1位という結果をいただけました。フランスを拠点にしながら、ドイツやイタリアでもすばらしい先生のマスタークラスを受けてみたいです。

作品が生まれた国の文化、空気感、言語に触れてみたい。触れないと感じられないものが、たくさんあると思います。そういう広い世界を知る1年にしたいなと思っています。

パリの町並みは、古い建築物が多いですし、異国のものと融合させて成り立たせてしまうセンスがすばらしいと思います。そして、空気感。日本で暮らしているよりも、重心が軽い感じがするんです。食べ物や言語など、音楽をする以外でも町を歩いているだけで楽しい町です。そういうところに身を置いて勉強してみたいという気持ちが強いですね」

2023年の目標は「幸せに過ごす」

コンクールから帰国後、出演する公演はどれも満員御礼。海外からのオファーも増えているという。昨年末にはCDデビューも果たし人気急上昇中の亀井さんに、今年にかける思いを色紙に書いてもらった。

「『幸せに過ごす!』という言葉にしました。やっぱり自分が幸せだなって感じられなかったら、聴いてくださる方にも伝わらないと思います。自分の心が動かされることを、正直に追求していきたいなと思いますね。

これから先、自分が何に興味を持っていくのか、海外の生活を通してなのか、作曲などの勉強を通してなのか、はたまた全く違う分野のことに興味が出てくるのか... そういう好奇心に正直でありたいです。『好き』と思えることを追い求めていくことで、今の自分には見えていない世界に飛び込んでいけるじゃないかなと思っています。

本当に自分が好きなこと、楽しいこと、幸せだなって感じることに、これからの1年、そしてさらに先の人生も歩んでいきたい。そういう思いを、『幸せに過ごす』という言葉に込めました」