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"東海の私たちが地球を救う" 名古屋大学 杉山範子特任准教授

東海 ドまんなか!

2022年7月22日

2050年ゼロカーボン地域ロードマップづくりなど、地域の気候政策を研究している名古屋大学杉山範子特任准教授にインタビュー。地域から考える環境問題について聞きました。東海ドまんなか!「東海の私たちが地球を救う」(7/22放送)

地球温暖化問題と地方自治体が担う役割

愛知県の二酸化炭素の排出量を見ると、50%以上が産業部門からとなっているんですね。ものづくり県だけあって、産業部門からの二酸化炭素排出が非常に大きくなっていますので、率先して二酸化炭素の排出を減らしていくことが求められています。
国際的にはパリ協定が採択されて、今世界全体が2050年以降実質二酸化炭素の排出をほぼゼロにしようという流れで取り組んでいます。日本も2050年以降はカーボンニュートラルを目指すということが示されていて、企業側も取り組みが始まっています。

二酸化炭素は、私たちの社会のあらゆるところから出ています。今は化石燃料由来の電気や熱がほとんどなので、どうしても二酸化炭素が発生してしまいます。私たちの生活は本当にさまざまなシーンから(エネルギーを使うことによって)二酸化炭素が出てくるので、それを今世紀の後半にはほとんどゼロにしていかなければいけないとなると、生活を変えていかなければならない。それを総合的に取り組めるのが地方自治体や地域だと私は考えています。
地方自治体は長期的・短期的な目標をもつ行動計画を作っています。その計画をもとに、地域の住民や企業、市民団体などを巻き込んで、将来的に地域の仕組みを脱炭素のものに変えていく。皆さんも一緒にそこに参加して取り組んでください、というふうに巻き込んでいくことが必要だと思います。

気候変動対策に取り組む東海の先進地域

私は「世界気候エネルギー首長誓約」という取り組みをやっていまして、これは世界中の地方自治体の首長さんが気候変動に対策するという誓約をして取り組むものなんですけれども、日本では32の自治体がサインをしています。東海地方では愛知県の豊田市、岡崎市、豊橋市、そして岐阜県の山県市、静岡県では三島市が参加しています。

特に、例えば豊橋市では住民のみなさんが生ゴミを分けて出して、自治体が全部それを回収しています。生ゴミを全て集めて、下水汚泥などと一緒にバイオガスを発生させて発電をし、熱も作り、それで市内の施設に供給したりしています。
ゴミからエネルギーを作っているわけですよね。そこでできたエネルギーを使えば、石炭とか石油とか天然ガスといった化石燃料から作る電気を、自分たちの暮らしから出てきたゴミを使った、実質CO2排出ゼロのエネルギーで置き換えていくことができるんです。CO2ゼロのエネルギーで化石燃料をどんどん置き換えていく、というのがすごくいい取り組みだと思います。

自治体が地域から気候変動対策を

自治体さんが抱えている課題はたくさんあります。気候変動の問題だけではなくて、人口減少だとか高齢化だとか、本当にあらゆる分野の課題を持っています。そういったときにCO2削減っていうだけの狭い視野に陥りがちなのですが、気候政策は総合的にやっていかないといけないんですよね。自分たちの地域を持続可能にしていくために、他の課題と一緒に解決をしていって、結果的にCO2を削減していけるのか、という視点で政策を作っていかなければいけないと思っています。
自治体さんとお話しする機会が多いのですが、出来ないってすごくおっしゃるんですよね。「出来ないことは約束できない」とか。でも例えば2050年の未来があって、そこを目指すのに「出来ない出来ない」という連続だと、目指す未来に行けないじゃないですか。未来をちゃんと思い描いて、そこから今何が必要なのかを決めていかないといけないですよね。私はやはり皆さんで、こういう未来を目指すんだよというのをしっかり共有することが大事だと思うんですよ。
最近では環境省が脱炭素先行地域を募集していまして、この4月にも第1回として26の自治体が選出されたところなんですね。今回選ばれたところはもう2030年に前倒しで脱炭素の実現を目指していこうという取り組みを進めています。そういった自治体がたくさんたくさん先進事例を作って、他の自治体に示してあげることによって、こういう取り組みができるんだと、地域から日本国内に広げていければいいなと思います。

若者への期待

私はすごく若者には期待をしています。
私もこれまで小学生、もしくは中学生、高校生にも地球温暖化の授業をさせていただいたことがあります。とても日本の学生さんたちは、地球温暖化のことについて関心を持っていて、知識をものすごく持っています。

でも何となくまだ自分の生活と結び付いてなかったりして、気が向いたときに省エネしていたら地球温暖化がストップするんじゃないかなと思っていたりする子もいるんですよね。
しかしそういう悠長なことを言っている時代は過ぎてしまって、今は本当に気候危機が差し迫っている時代です。残念ながらこれからの大きな気候危機の影響は、皆さんの時代、若者の皆さんが大人になる頃にもっともっと酷くなって現れてくると思うんですよね。だからこそ今の大人に対して声をあげてほしいなというふうに思ってます。
決して知識だけを得て物分かりのいい人とか、物分かりのいい大人になるんではなくて、違うものにはちゃんとNOと声を上げて、社会を変えていきましょうと是非声を上げて頂きたいなと思います。
残念ながら今決定権を持っているのは大人が中心です。政治家を選んだり、物を買ったり、ゼロエネルギーの家を建てたりとか、電気自動車を買ったりとか、そういう決定権を持っているのはほとんど大人になってしまう。
けれども皆さんが大人になる時には(脱炭素を目指すという)理念を忘れないでいてほしいと思うし、大人にはできるだけそういう選択肢を選んでと求めてほしい。もちろん高校生さんは選挙権を得たらしっかりと政治家を選んでほしいなと思っています。

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