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"脱"百貨店! 百"価"店で生き残りを ~水族館で人を呼び込め

東海 ドまんなか!

2022年5月20日

人口減少や新型コロナ、そして私たちの生活や価値観が急速に変わる中、苦しい経営環境が続く百貨店。静岡市にある松坂屋静岡店ではことし"百貨店としては初となる常設の水族館"を完成させた。地方の百貨店が抱える苦悩や生き残りをかけた戦略などについて落合功男店長に聞きました。

松坂屋静岡店 落合功男店長
百貨店の現状

▼ライフスタイルの変化やコロナもあり業界全体としても厳しいですが今回の大幅リニューアルはどんな意味がありますか?

松坂屋静岡店だけではなく、地方店に対する危機感があったからなんです。
1つ目の危機感は、目的がなければ来てもらえない場所になっていたという点です。静岡エリアの生活者の中で松坂屋静岡店には例えばお中元を買わなければ行かないなど、このままでは本当に用事があるときしか行かない、結局売り上げも集客もほんとうに少なくなってしまう。
2つ目の危機感は、出店するテナントから選ばれないお店になってきているという点です。地方都市の店舗は同じなんですけれども、出店先として選ばれない。どんどん撤退していって穴あきになっているフロアが増えていくことによってそれがまたさらなる撤退を招くという負のスパイラルに陥ってるということです。
こうした状況では、長くても10年、早ければ5年しかもたないんじゃないかっていうことが出発点でした。
私たちはまず、もう一度存在意義の深掘りを行いました。そしてもう1回、地域のお客様がどんなお客様なのか深掘りしました。
その答えとして例えば存在意義でいいますと、お店に行くこと自体が目的になる存在にならないと生き残れない、単なる「モノ売り」だけではたぶん生き残れない。静岡の駅前には7つの大型商業施設がありまして「モノを売る」機能と「体験する機能」をミックスすることによって、長く滞在していただけるような施設を目指そうと思いました。

なぜ今、水族館なのか

▼その上で水族館。斬新なアイデアだと思います。

理由はいくつかありますが、私は静岡店に来る前に本社の経営企画室にいたのですが、様々な情報が入ってくる中、香川県に四国水族館ができるという情報がありました。水族館はどうしても郊外の大規模なものがあるんですけども、ビジュアルに特化した楽しい施設を商業施設の中に取り入れたら「絶対にうけるだろうな」と思いました。
一方、水槽の重さに建物が耐えられるのかや生き物を扱うことなどいろんなハードルがありましたが、それを乗り越えてやってみようと考えました。

(水族館は「体験を売る」ことですよね)

そうですね。体験する楽しみっていうのはもちろんありますし、今でいきますと、写真を撮ってSNSに「来たよ」とあげる楽しさもありますし、いろんな楽しみができる空間として水族館は非常にポテンシャルが高いんじゃないかなと考えました。

静岡店の売り上げも・・・

▼静岡店の売り上げはどう推移していますか?

2019年のコロナ禍前ですと200億を超えていて、静岡市内では一番手をキープしておりましたが、以前から数%ずつ下がっていて、2020年に大幅に売り上げが落ちまして140億台ということで、他社も同じだと思いますが、2021年には回復はしているんですけれども、まだまだコロナ禍前には戻っていないのが現状です。

地域と共存そして百"価"店へ

▼自分たちだけが生き残ればいいという考えもあると思いますが・・・

例えば、仮の話ですけど、静岡の駅前には7つの大型商業施設があると言いましたけども、全部なくなって1店舗だけであれば、それは勝てると思います。ですが駅前は魅力的ではなくなってしまうと思うんですよね。あくまでもこのエリアの魅力は、ほかの地方都市と違い、複数の大型商業施設があり、その周辺には商店街や飲食店があることで魅力をつくっていくみたいなことがあり、駅前の魅力を最大化させるためには何をしたらいいのかという視点が必要だと思います。
そのためにはほかの店舗も完全な敵ではないと思っていて、駅前エリアの魅力を上げるステークホルダーでもありつつお客様を奪い合う切磋琢磨し合うライバルでもあるという位置づけだと思います。パイを奪うのではなくて集客することで貢献できるということが示せたのではないかなと思ってます。

▼百貨店のコンセプトも変化していきますか?

変わってくると思います。今回ビジョンとして「目的地となる地域共生型百価店」としたんですよね。目的地になるというのは理由がなければ来ないお店ではなく、理由がなくても行ってみようというような目的地であるということと地域共生でエリアをより魅力的にしていこうと。百貨店の「貨」を価値の「価」に変えたんですよ。
私たちがやらなければならないのはコンテンツだと思います。結局、百貨店の売り上げがどんどん下がってきたっていうのが、「百貨店が提供するコンテンツ」と「お客様が求めるコンテンツ」がミスマッチしていたからこそだと思っています。
百貨店というのはテナントさんを入れて提供するまで結構時間がかかるんですよね。交渉したり設計したりデザインして最終的にお店としてつくるところまで長い時間がかかる。
入れたときに、もしミスマッチしたとしても、ある程度投資しているので投資を回収するまでなかなか抜けられないし、コンテンツの開発力と提供するスピード感を生活者の皆さんの考えるものにフィットさせていくか、そこが課題だと思いますし、私たちがやらなければならないことだと思ってます。

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