2017年06月07日 (水)防災 これを!⑭「車中泊、ホントにできる?」【石垣真帆】


ラジオ第1『夕刊ゴジらじ』で毎月1回お届けしている

「防災士 石垣真帆の 防災 これを!」

私が防災士として学んだ中から「これは覚えておきたい!」と特に感じたことを

番組リスナーのあなたにお伝えしていくコーナーです。

5月放送のテーマは

 

「車中泊、心構えと 注意ポイント」

 

災害が起きた時の車中泊をちょっとでも考えているあなたに

ぜひ読んでほしい内容です。

 

5月30日の放送では、

名古屋市にあるNPO法人レスキューストックヤードの

松永鎌矢(まつなが・けんや)さんにアドバイス頂きました。

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去年4月の熊本地震発生直後から現地に入っての長期間にわたる支援活動で

熊本の現場を知り尽くした方。

被災地での車中泊の現状をもとに話してくださいました。

 

まず。

(ちなみに、役立つグッズなどは、後ろの方に書いてあります
 でも、ここからの前提部分を、ぜひ読んでください)

 

「車中泊」は、なぜ選ばれるのでしょうか?

「避難所では落ち着かない」と、自らの意思で選ぶ人もいるでしょう。

熊本地震の被災地では

「大きな揺れが何度も続いて建物の中にいるのが怖かった」という理由も

多かったのですが、

やむを得ない理由で「避難所に居たくても居られない」というケースもあるのです。

例えば、小さな子どもがいる、障がいのある人がいる、ペットがいる、

職場に通うために、朝早くや夜遅くに出入りしなければならない、など

周りに迷惑をかけてしまうことを気にして、車の中を選ぶ人もいます。

 

車中泊は、エコノミークラス症候群など健康上のリスクから

けっしてお薦めできるものではありません。

 

でも、上記のような事情で、選択せざるを得なくなることが

あなたの身にも起きるかもしれない。

 

松永さんも、熊本の現場で様々な状況を目の当たりにして

「これからの災害現場では、車中泊を選ぶ人が増えるだろうな」

と感じたそうです。

 

 

ただ、車中泊は、体が辛い。

何が辛いって、寝にくいこと。

実際に車中泊の経験がある松永さん、元気な27歳ですが、

「1泊でも辛かった・・・」と。

車の座席は運転しやすく乗り心地がいいように作られているので、

倒しても完全にフラットにならず、

寝付けない、夜中に目が覚める・・・

とにかく寝た感じがせずに、疲労感が残るそうです。

 

運転中に仮眠をする感覚で「え~平気なんじゃない?」という声もよく聞きますが、

一晩寝る、さらにそれが長期に渡る、というのは本当に身体にこたえます。

 

「体力があるから大丈夫」、ではなく、

「誰でも体調を崩す可能性がある過酷な環境」だと

しっかり認識する必要があります。

 

 

だからこそ、一度体験しておいてほしいのです。

車中泊の大変さは、実際にやってみて初めてわかります。

例えば、週末にでも、自宅の駐車場でキャンプ感覚で体験してみる。

その不便さから、どんな工夫が必要なのかを実感することもできます。

 

そして、もし、「これは、体力的に無理だ・・・」と感じたら、

“最初から避難所に入る”と、決めておきましょう。

実際、避難所は入れる人数が限られているので、

後になって入ろうと思っても、入れない可能性があるからです。

 

それでも「避難所に行きたくない」「避難所で過ごせない事情がある」場合は、

自宅を、地震の後も過ごせるように保つための対策が必要になってきます。

「耐震補強」、「家具転倒防止」、大丈夫ですか? 

 

ぼんやりと「車中泊すればいいや・・・」と思ったままでいると、

いざという時に、本当に困ることになりかねませんよ。

 

 

 

それでも「車中泊」を選ぶなら、できる限りの対策をする。

一番は、少しでも寝やすい環境を作る工夫をすること

すなわち体をまっすぐにできる状況を作ることです。

(足と上半身をフラットにすることで、エコノミー症候群を防ぐ対策にもなります)

松永さんが教えてくれた、その為の方法です。

ベニヤ板を車の中に入れて、体をまっすぐにして寝られる状態を作る。

 普段から用意しておかなくても、避難生活を始める時点で

 ホームセンターに買いに行ったり、

 家から畳を持ち出したりしてもいい。

 車の大きさに応じてベニヤ板をカットすれば、軽自動車にも入れられます。

 その上に毛布(何かと便利なので日ごろから積んでおく)を敷けば、

 簡易ベッドの出来上がり。

▽ベニヤ板が手に入らなければ、せめて座席の足元のスペースに

 ダンボール箱(避難所に行けばたくさんあるはず)などを入れ込んで、

 足先を少しでも高くできるように工夫する。

 

そして、暑さ・寒さ対策も重要・・・特にこれからの時期は、熱中症に注意!

サンシェードアルミシートで遮熱。これは目隠しにもなるので便利です。

ドアにすっぽりかぶせる虫除け網を使って、窓は開けておく。

 

 

その他、実際に、熊本の現地で

「あってよかった」「あればよかった」とニーズが高かったものも教えてくれました。

▽車用の充電器

・・・情報入手に必要なスマホや、その他、電気を使う器具などの充電に必須

おぼん(盆)

・・・配給や炊き出しの食料を運ぶ手段として

・・・車内で平らな場所(意外にない!車内はカップラーメンすら置けないのです)を作るのに必要

ロープ

・・・車の内側に窓に沿ってロープを貼ってタオル等をかけ、目隠し・日除けに

(車の窓にとりつけて、完全に光を遮断し外から見えなくするグッズは、
 横や後ろの窓用のものはないそうです)

・・・車と木などの間に張って、洗濯ものを干すのにも便利、という声が多かったそう

防犯ブザー

・・・様々な人が車を泊める場所、泥棒がまぎれている可能性だってあります

 

 

ちなみに、車を泊める場所はこんな所がいいそうです。

▽避難所の近く・・・情報や支援(配給食糧や医療のケアなど)が届きやすい

▽公園など、トイレが近くにある所・・・トイレにすぐ行けるというのは重要

  ※ただ、車の後ろ側に植え込みなどがあると、排気口がふさがれて
   車内で一酸化炭素中毒になる危険もあるので注意が必要!

 

 

 

さあ、本当に「車中泊」、できそうですか?

自分と、家族と、よく話し合って、今のうちから準備をしておきましょう。

投稿者:石垣 真帆 | 投稿時間:19:38


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