被爆から72年。長崎原爆に関するさまざまな知識・情報を夕方のニュース「イブニング長崎」で毎日、お伝えします。

長崎原爆ノート33「在外被爆者の認定と裁判」被爆者に被爆者健康手帳を交付する制度は昭和32年に始まり、海外に住む「在外被爆者」も日本国内に住む被爆者と同様に交付されるようになりました。しかし、手帳の申請や交付ができるのは国内の窓口に限られていたため、体調がすぐれないなどの理由で来日できず、申請できなかった韓国の被爆者が平成19年、海外でも手帳の申請や交付ができるよう求める裁判を長崎地方裁判所に起こしました。長崎地方裁判所は翌年、海外でも手帳を交付できるよう命じる判決を出し、法律の改正で、在外公館でも手続きが可能になりました。一方、在外被爆者に対しては、昭和49年に旧厚生省が出した通達で、被爆者を援護する法律は適用外とされ、長年医療費や健康管理手当などが支給されてきませんでした。平成11年、「通達は不合理な差別だ」として韓国に住む被爆者が裁判を起こし、通達は平成15年に廃止され、平成19年には最高裁判所が国の政策の誤りを認める判決を出しました。さらに、在外被爆者がそれぞれの国で受けた医療にかかる費用について、国内の被爆者と同様に自己負担をなくすよう求める裁判も行われ、徐々に改正が行われていますが、医療費の支給には上限があるため、現在も裁判が続いています。
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