長崎県民の関心事!皿うどんに細麺と太麺があるのはなぜ?
- 2022年04月19日
長崎のソウルフードと言えば、ちゃんぽん、カステラ、そして、”皿うどん”ではないでしょうか。この皿うどんについて、1つのギモンが子どもたちから寄せられました。
なぜ皿うどんには細麺と太麺があるのですか? 長崎の皆さん、答えられますか?
長崎局 記者 郡義之
食べていてふと思った
ギモンを寄せてくれたのは、長崎市に暮らすきょうだいです。源斗さん(小6)と源亮さん(小3)、紀律さん(小1)です。
源亮さん
「なぜ皿うどんには細麺と太麺があるのですか? ちゃんぽんは麺の種類が1つしかないのに、どうして皿うどんには2種類あるのかと思って…」
ある日、家族で皿うどんを食べにいった時にふとギモンに思ったそうです。きょうだいの間でも好みは分かれていて、源亮さんは細麺派、源斗さんと紀律さんは太麺派です。
源亮さん
「細麺はカリカリしているのが好きです」
じょう舌に語るも、答えは分からず
「ソウルフードだし、長崎県民の大人たちなら知ってるはずだろう!」
そんな思いで私は、長崎市の浜町アーケードで聞き込みをスタートしました。
わかりません…
どうしてだろう?細麺が先に誕生したんだっけ?でも分からないなあ…。
意外にも大人の皆さんは知りませんでした。
それでも、
太麺のあのもちもちとした食感がいいんですよね
一晩たった細麺のしなっとした感じがまた格別でして…
普段の街声インタビューと違って、じょう舌に語る人が多いこと、多いこと!
結局、答えは分かりませんでしたが、長崎県民の「皿うどん愛」を実感させてもらいました。
長崎発祥のリンガーハットに教えてもらおう!
餅は餅屋に聞いてみよう!
次に直撃したのが、皿うどんとちゃんぽんを全国に広めた創業60年の外食チェーンの「リンガーハット」です。佐々野諸延社長は長崎出身です。佐々野社長の好物は細麺の皿うどんだそうで、期待が高まります。
リンガーハット 佐々野諸延社長
「リンガーハットの店はもともと、細麺の皿うどんしかなかったんです。でも、長崎にちゃんぽん麺を使った皿うどんがあるのになぜないのかと言われ、あとで太麺の皿うどんを販売するようになりました。(なぜ細麺と太麺があるのか)そこはよくわかりません」
残念!このギモンがそんなに難解とは…。
諦めかけたその時、佐々野社長から重大なヒントが寄せられました。
リンガーハット 佐々野諸延社長
「最初にできたのは、太麺のほうじゃないかと思います。皿うどんという名前は、うどんと同じように麺が太いので、皿うどんっていう名称につながったんじゃないかっていうような話を聞いたことがあります。たしか、中華料理店の四海樓が皿うどんの発祥だと思うので、ぜひ四海樓に聞いてみてはどうでしょうか?」
太麺が最初!
佐々野社長のヒントを頼りに、わたしは長崎市内で123年続く老舗の中華料理店「四海樓(しかいろう)」の戸をたたきました。四海樓は長崎ちゃんぽんの発祥の店として知られています。4代目社長の陳優継社長が応対してくれました。
四海樓 陳優継社長
「皿うどんもうちのひいおじいちゃんが作ったんですよ!」
“ひいおじいちゃん”とは、創業者の陳平順(ちん・へいじゅん)さんのことです。皿うどんの始まりは店ができた明治時代後期のころに誕生したそうです。ふむふむ。そして、優継さんは、間髪入れずにギモンを解き明かしてくれました。
四海樓 陳優継社長
「実は皿うどんは太麺から始まっているんです。太麺と具材を炒めたあと、ちゃんぽんで使うスープを投入し、汁が残らなくなるまで全体をなじませれば、元祖皿うどんの完成です」
皿うどんは創業者の陳平順さんが今の焼きそばにあたる炒肉絲麺(チャーニィシーメン)太麺で作ったそうです。
わたし自身は、札幌出身で長崎に転勤して来るまで、皿うどんの太麺を食べたことはありませんでした。初めて食べた太麺の味は忘れられません。もちもちした麺と、濃厚なスープをまとった肉や野菜のうまみが相まって、食べ応えも十分。「これはうまい!」。焼きそばとはまた違った感じで新鮮でした。すいません!そんな私の感想など、どうでもよかったですね。
細麺誕生のなぞ
太麺が最初なら、なぜ次に細麺は生まれたのでしょうか。
実は太麺ほど調理の時間と手間をかけずに、手早く皿うどんを調理するためでした。
創業者の陳平順さんは油で揚げた細麺に、とろみのついたあんをかけて、皿うどんの細麺を開発したのです。
四海樓・陳優継社長
「皿うどんも、細麺と太麺それぞれいいところがあります。好みの問題も出てくるので、そういうものがたくさんあっていいと思うんです。多様な文化を受け入れてきた長崎の懐の広さでしょうね」
細麺 被災地で活躍
脱線しますが、細麺は2016年に熊本地震が発生した際、大活躍しました。長崎市内の中華料理店は、熊本の被災地に駆けつけ、1日に1000食分の食事として皿うどんの細麺を提供しました。手際よく、熱々のあんをかけるだけの皿うどんの細麺が多くの被災者に喜ばれたそうです。
四海樓 陳優継社長
「細麺の皿うどんはまさに、簡便に作って、お客様に提供するというその考え方が生きてきた。100年たって、そこが生きたというのは、非常にうれしいなと思います。ちょっとしたきっかけ、自分の考え方、思いというのを、料理に具現化したわけですが、時代を経て役に立っているということを知ると、ひいおじいちゃんもとても喜ぶと思います」
両雄並び立つ
(今回のお題)
なぜ皿うどんには細麺と太麺があるのですか?
きょうだいから寄せられたギモンで私がたどり着いた答えは次の通りです。
①まず皿うどんは太麺が誕生した
②次に調理時間を短縮する必要から細麺が生まれた
「両雄並び立たず」ということばがありますが、この皿うどんの細麺と太麺においては
「両雄は並び立つ」と言えるでしょう。それぞれのいいところを認めつつ、100年たっても愛される長崎の皿うどん。ひょっとして100年後には、3種類に増えていたりして(笑)
全国に誇る長崎の名物料理を、地元記者として、私もこよなく食べ続けたいと思います。
長崎の小中学生のみなさん、ふと感じた疑問をぜひお寄せください!
取材の結果は、夕方6時10分からのイブニング長崎「長崎のギモン それ知っとっと?」や、
こちらのサイトでお伝えしていきます。