2018/12/17(Mon) 10:00御嶽山②
8合目、女人堂(にょにんどう)へ着いたのは出発からおよそ4時間後。
山小屋の方が登山客に注意事項や、下山を始める目安時間について繰り返し呼びかけます。
御嶽山は、日本でも有数の滝の多い山で、滝行が盛んに行われる霊峰としても知られています。修行をされる方を地元では「信者さん」と呼んでいて、一般の登山客はステッキなどを持って登りますが、信者さんは、木曽ヒノキで出来た杖を片手に登りこれを金剛杖(こんごうづえ)といいます。
一般の登山客でも購入することができ、それぞれの山小屋の中では、こちらも有料ですが写真のように金剛杖に焼き印をつけられるようになっています。焼き印の模様は山小屋によって、また時代によっても違っています。聞いた話ですが、信者さんは親や祖父母から代々金剛杖を受け継ぐ人も多いそうです。
9合目、石室山荘でひと休み。頂上まであと少しです。ここまで来ると、「頑張ってください」とか、「もう少しです」など、見ず知らずの人同士で声を掛け合う姿が多く見られます。
私も、「あと30分くらいです」と声をかけてくれた女性の言葉がとても力になりました。
そしてついに、山頂付近に到着。
山頂まで続く道には、行列ができていました。
そして、昔登ったときはなかった、避難用のシェルター、献花台。頭ではわかっていますが、実際に見てみると、ここは本当に私の知っている御嶽山なのか正直、戸惑いました。
その時です。
登山を始めてからこれまでずっと曇っていた上空が、急に晴れてきました。
周りからも、「おおっ」と歓声が上がります。
この雄大な景色を、私は見たことがあります。確かに、御嶽山の山頂に来たのだと実感しました。
山頂までの階段に付いている手すりも、ボコボコになっていました。
損壊の激しい山小屋、足元には、かつて噴火があった形跡である、二ノ池。
壮大な景色を前にふと思ったのは、人は「自然に生かされている」のだということです。
そして、谷川俊太郎さんの「そのあと」という詩にもあるように、すべて終わったと知ったそのあとにも、終わらないそのあとがあります。
私たちはこれからも、御嶽山と生きていかなければなりません。小さいころよく遊んだふもとの川や、大好きな山菜やきのこ、温泉、噴火も、御嶽山です。
およそ20年ぶりの御嶽山登頂は、無邪気に登ったあの頃と全く違う一面を見ることができて、色々と考えさせられた1日でした。
投稿者:田村有葵子 |