今回の講演テーマは「円滑なコミュニケーションについて」

高校生たちがこれから進学、さらにその先の社会に出ていく中で、たくさんの出会いがあると思います。
そうした多くの出会いを、仕事はもちろん、さらに自分の成長にもつなげられるように、円滑なコミュニケーションは大切です。
「初めまして」という方とも、いかにスムーズに打ち解けて、相手の思いを受け取り、
自分の思いを伝えられるか、そうした力は大きな財産になると思います。

この日は、５0人ほどの生徒の皆さんが参加してくれましたが、一人で参加している高校生も多く、あえて、隣の席の人とは初対面という状況を作ってもらいました。

そこで、まずは、隣の人に3分間インタビューをして、
人に伝えたくなるような、相手の「すごいところ」「おもしろいところ」を1つでも2つでも聞き出してみようという課題に挑戦してもらいました。
中野アナとは、事前に「生徒たちが初対面の人といきなり話すのは難しいかも」と想定していたので、
別のアプローチも考えてはいたのですが、実際始まってみると、皆さん笑顔で、時には身ぶり手ぶりで楽しそうにお話をしている組が数多く見られました。

そして、何人かに、何が引き出せたかを聞くと「毎日自分で創作料理を作る男子生徒の話し」や「野球部のマネージャーの陰の努力の話し」など、よく3分間でここまで聞き出せたなあと、
こちらも感心するエピソードをたくさん引き出してくれていました。

インタビューを受けた生徒からも「何でも聞いてくれるのがうれしすぎてたくさん話しちゃいました」
「笑顔でうなずいて聞いてくれていたのでとても話しやすかったです」などなど
もうこちらがあまり教えることがないくらいの実践的な方法で、話しを引き出してくれていました。

もちろん、中には「会話が一問一答になってしまって話しが続かなかった」
「何を聞いていいかわからなくなった」というペアもいました。

中野アナや私が伝えたかったのは、
「人に興味を持とう」「相手の話しを聞ける人になろう」
ということです。

人は自分に興味を持ってくれている人に対して好意的な印象を持ちます。
話している側は、相手の言葉の相づちだけじゃなく、表情、うなずき、目の動きなどからもそれを感じ取ります。聞く側の「あなたのことをもっと知りたい」という前向きな姿勢こそがコミュニケーションにおいてとても大切です。相手の話を本当によく聞いていれば、相手が発した言葉から、おのずと次の質問が出てくるはずです。

あとは自分のアンテナをどう広げていくかです。
相手への共感だけじゃなく、自分とは違うところや、想定とは異なる回答にこそ、
相手の本心に迫る次の扉が待っている気がします。

Q「部活は何をしていますか？」
A「吹奏楽部です」

この次にいくつの質問が思い浮かびますか？
その数が多ければ多いほど、相手の懐に飛び込み、自分しか知らないような相手の一面を見せてもらえたりもします。
好奇心と相手への興味を持っていれば、
知っている分野はもちろん、知らない分野ならなおさら、自分の見識をさらに広げられます。

「われ以外皆わが師なり」
相手の言葉、自分の発する言葉を大事にすれば、
多くの人とのコミュニケーションを楽しめて、自分自身の成長につなげられるはずです。

私たちアナウンサーも「しゃべる」仕事と思われがちですが、「聞く」仕事に重きを置いて日々の生活を送っています。
これはどの仕事でも、あるいは人と人とのつながりの中で日常生活を送る私たち全員に必要なことだと思っています。

今回、講演が終わった後、嬉しいことがありました。
たまたま、隣同士になったという子たちが何組か駆け寄ってきてくれて
「私たちは、今日初めて会ったんですが、このインタビューを通じて仲良くなれて連絡先を交換しました。
相手を知りたいと思う気持ちを素直に出すのは大切ですね。
これからもお互い励まし合って受験勉強なども乗り越えます」と言ってくれました。
楽しそうにお話しをしながら帰る姿を見て私も大きな励みになりました。

学校プロジェクトでは引き続き、参加いただけるみなさんをお待ちしています。お気軽にお声がけください。

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