

きょうは刑事裁判への「被害者参加制度」についてお伝えします。犯罪の被害者やその遺族が刑事裁判に出席し、被告人や証人に直接質問ができる「被害者参加制度」を盛り込んだ刑事訴訟法の改正案が6月1日、衆議院本会議で可決されました。法案は現在、参議院で更に審議が進んでいますが、法案は今の国会で成立する見通しで、法律の公布後1年半以内に施行されることになります。
この「被害者参加制度」とは、どんなものなのですか?

はい。犯罪が起きた時、被告人の行為は犯罪となるか、またどのような刑罰を下すのが適当なのかを審理する場が刑事裁判の法廷です。この刑事裁判の場に、犯罪の被害者が出席し、審理に参加することは、これまで日本では認められてきませんでしたが、それを認めようというのが「被害者参加制度」です。

どうして、こういう動きが出てきたんですか?

日本では憲法をはじめ犯罪の加害者の人権を守る法律は整備されているのに対し被害者の権利を守るという視点はずっとおろそかになっていたきらいがありました。しかし、近年の犯罪の悪質化、凶悪化に伴い、被害者や被害者の遺族は、事件の後も精神的や経済的な苦しみを抱えて暮らしているといったケースが多くなっていて、こうした人たちの支援というのが大きな課題として浮かび上がってきました。そうした中、犯罪被害者を支援するための法律、「犯罪被害者基本法」が3年前に作られ、この中で犯罪被害者が刑事裁判に参加する権利について盛り込まれたのです。

その「被害者参加制度」ですが、具体的にはどういう内容なのですか?

この制度は、犯罪被害者やその遺族が刑事裁判に出席して被告人や証人に直接質問することなどを認めるというものです。被害者は▽まず、「被害者参加人」として検察官のそばに座って裁判に出席できます。▽それから、被告本人や情状酌量を求める被告側の証人に直接質問をすること。それに▽検察官の論告求刑の後で同様に量刑に対する意見を述べることができます。

どんな事件の裁判でも参加できるのですか?

いいえ、殺人や性犯罪、交通事故などの刑事裁判に限られていて出席を希望する被害者側が検察官を通して裁判所に申し出て裁判所が認めた場合に限られます。被害者や遺族本人でなくても代わりに弁護士を雇って参加させることもできます。

この法案成立の動きに対して被害者側はどのように受け止めているのでしょうか?



はい。自らも犯罪被害者として国などに対し犯罪被害者への支援を働きかけてきた人たちの中には▽「自分の言葉で被告に質問して事件の真相を明らかにできる」。「裁判中に検察官と密接なコミュニケーションがとれ納得のいく裁判の進行ができる」などとして法律の制定を評価しています。
しかし、一方で、法廷に自らが出席することにためらいを感じている人たちがいるのも事実です。その理由としては▽「法廷が被告との対決の場になり被害者の落ち度を指摘されてかえって精神的苦痛を受ける」といった意見や「当時のことを思い出したくない」というものです。
また、日本弁護士連合会では▽「被害者から被告人が直接質問されると、被告人が自由に発言することがますます困難になる」。さらに▽「被告人が萎縮して供述を控えるなど本来の防御活動ができなくなる」などとして法案に反対しています。

反対の意見もあるということですが、法律の成立がほぼ間違いない状況で、今後、どういうことが求められていくのでしょうか?

そうですね。犯罪の被害者が法廷に出席出来るようになる一方、2年後、裁判員制度もスタートします。一般の人から選ばれた裁判員に被害者の発言が情緒的に大きな影響を与えることはないか、それによって客観的な証拠に基づく冷静な事実認定ができなくなるおそれも指摘されています。この法案は施行後3年経った段階で必要があれば見直すことになっています。この法律がほんとうに犯罪被害者の人たちの心を少しでも救うことが出来るのか、きちんと検証していく必要があると思います。

きょうのニュースの?は「被害者参加制度」についてお伝えしました。