イブニング信州【2015年6月9日(火)放送 イブニング信州「ニュースここがわからん」より】
西村佑佳子 記者
梅雨入りした信州。この時期に心配されるのが「土砂災害」です。去年は全国で被害が相次ぎました。
今回はその「土砂災害」について詳しく解説します。
Q:この時期、ニュースでも取り上げることの多い「土砂災害」。
A
:県内では去年7月に南木曽町で、全国でも去年8月に広島県広島市で大規模な土砂災害が発生し、大きな被害が出ました。
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Q:「土砂災害」とひとことで言っても、さまざまな種類のものがあると思いますが・・・。
A:土砂災害には大きく分けてつぎの3つの種類があります。
・急な斜面が崩れる「がけ崩れ」。
・山から崩れた土や石が水と一緒になって勢いよく流れ下る「土石流」。
・やや傾斜の緩い斜面が広い範囲にわたってかたまりのまま動く「地すべり」です。
南木曽町も広島も、過去、経験したことのないような量の雨が降ったことで、
近くに住宅がある山の斜面で「土石流」が発生したことなどが大きな被害をもたらした原因とされています。
「土石流」は、雪解け水によって発生することもありますが、多くが大雨によって発生します。
梅雨や台風の時期はとくに注意が必要です。早い時は時速40キロ以上になり、大きな岩も流します。南木曽町では10メートルを超える岩も流されました。
また「地すべり」も大きな被害をもたらします。
こちらは、いまから30年前の昭和60年。
長野市の地附山で発生した地すべりの映像です。長さ700メートル、幅600メートルにわたって斜面が動き、26人が亡くなる惨事となりました。
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Q:土砂災害の恐ろしさを見せつけられた感じがしますが、長野県は全国的に見て土砂災害が発生しやすい場所と言えるのでしょうか?
A:山間部が多い長野県の地形は、傾斜が急で険しく、さらに2つの大きな断層が走り、
火山噴出物などの脆弱な地質が広く分布しているという特徴があります。
大雨が降った場合、土砂災害のおきるおそれがある「土砂災害警戒区域」にはことし4月末現在、県内で2万5026か所が指定されています。
そしてこのうちおよそ82%に当たる2万543か所が、特に警戒が必要な「特別警戒区域」に指定されています。この数は、全国最多です。
ただ、この指定作業はまだ完了していないため、最終的に全国最多となるかは確定していませんが、
いずれにしても長野県は土砂災害の危険性が高い地域を多く抱えていると言えると思います。
Q
:指定作業が完了していないということですが、なぜなのでしょうか。
A:対象となる地区の数が非常に多いため、予算上の理由などで、指定のための調査が追いついていなかったのです。
広島市の土砂災害では、住民が死亡したり行方不明になったりした7つの地区のうち6つの地区で指定作業が進んでいませんでした。
警戒区域に指定されると、土砂災害に関する情報の伝達や避難の態勢を確立することや、
ハザードマップを作成して住民に必要な情報を知らせることが求められます。
このため、全国で計画を前倒しして指定を完了させようとする動きが相次いでいます。
長野県でも計画を1年前倒しして作業を進めていて、来年度に全ての指定作業が完了する予定です。
指定地域は、長野県のホームページの「信州くらしのマップ」などで確認することが出来ます。
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Q:大雨による土砂災害から身を守るために、行われている対策は何がありますか。
A:土石流を止めるための「砂防ダム」、地すべりを防ぐための「集水井」と呼ばれる井戸などがあります。
南木曽町では3基の「砂防ダム」が流れてきた土砂のおよそ7割をせきとめたり、去年11月の地震で、震度6弱を観測した小谷村でも「砂防ダム」が大規模な地すべりをせきとめたりしています。
Q:色々な対策が講じられているのですね。我々はどんなことに気を付けたらいいのでしょう。
A:6月8日、信州は梅雨入りしました。ことしは平年に比べて梅雨前線が活発化する要素が多く、
梅雨後半に降水量が多くなる可能性があると言います。大雨が降ったり、長雨が続いたりした場合、
まず、気象台が発表する情報に注意する必要があります。
具体的には、大雨の「注意報」や「警報」、「特別警報」、
「土砂災害警戒情報」また数年に1度程度しか発生しないような短時間の大雨を解析した時に発表される「記録的短時間大雨情報」などに注意が必要です。
そしてもう1つ大切なのが、自治体から発表される情報です。市町村が発表する避難の情報は次の3つがあります。
まず「避難準備情報」です。避難に時間がかかるお年寄りや障害がある人などはこの情報が出た段階で早めに避難を始めるよう呼びかけるものです。
そして「避難勧告」、「避難指示」です。
去年相次いだ土砂災害では、川の水の濁りや土のような臭いなどの異変を感じて避難し、命が助かった人もいたということです。
大雨の時には、テレビやラジオ、防災無線などで情報を確認することは勿論、周囲に異変が起きていないか十分に気を付けて、夜間を避けて明るいうちに避難するなど早めに身の安全を確保することが大切です。