Oh!井戸捜査網2011
放送予定
[BSプレミアム]
2011年7月1日(金)
深夜11:45〜深夜0:00
[再放送]
[BSプレミアム]
2011年7月5日(火)
午後6:30〜午後6:45
Oh!井戸捜査網2011・柏崎哲生さん


自称“井戸人”


東京には今も1万個以上の井戸があるとい
う。地下から手こぎのポンプでくみ上げる
水は、夏は冷たく、冬は温かい。地面がア
スファルトに覆われ、地下の水脈がズタズ
タになっても井戸はまだ生きている。
柏崎哲生の趣味は東京の井戸を探し歩くこ
と。自らを井戸人と称する。


「あるだろうなと思っても、表にはないんですよ。路地よりもう少し1本細いよう
な所にあったりするんで、それを見つけた時は、“誰も知らないだろ、この井戸”
っていう。」
井戸探しは路地をめぐる旅。

「こういう階段の下にあったりするんですよ、たまに。
 今日はない、ここにはないです…。」
「あった!あった、ほら。あれですよ。」
井戸があった。


探さなければ見つからない


「中にちゃんと水がありますよ。
 あったあった。」
どこにどんな井戸があるか、ガイドブック
などない。だから、ひとつひとつ、見つけ
た!という喜びがある。
「井戸を探し始めれば、結構出てくるんで
すけど、探さなければ1個も見つからない
ですからね」


「すっげー冷てぇ!あー、今日暑いからいいですよ、これ」
ほとばしる水がうれしい。東京が生きているという気がする。
Oh!井戸捜査網2011。


西新宿で探す


「新宿の高層ビル街のすぐそばで、井戸が
見つけられればいいなと思って。できれば
ね、高層ビルを背景に写真を撮れれば一番
いいんですけど。」
井戸を探すにはコツがある。
「暗渠(あんきょ)の出口ですよね。
この先に昔の川の跡があるんじゃないか
なっていう」 暗渠の上を辿ってみよう。

山の手に降った雨が低い所に向かい、谷を刻む。
ここは西新宿。昔の川の跡は今、遊具が遊ぶ路地になっている。
「橋です」普通ならうっかり通りすぎてしまう水の記憶。
「第1号橋だ。下流から数えてますもんね、橋は。だからさっきのとこから比べれ
ば1番目で、このへんに2番目があるのかな」
推理も楽しい。
「なんかありそうだな」ここならすぐ見つかりそうだ。


路地を縫う


川の跡をたどるうちに、毛細血管のような
路地に入った。ここからが勝負。
「入らない路地はない。ちっちゃい何丁目
とかでも2時間ぐらいかかるんですよ。な
ので、走ります。走って、目の端っこで井
戸を捉えるみたいな。僕は縫うって言いま
す。縫う。探しに行った町は必ず全面的に
縫わないと」

小走りに路地を縫うこと1時間。
「ないっす」
 
「こんにちは。ちょっと趣味で、井戸探してるんですけど…」
「井戸?井戸はありませんよ」(地元の人)
「ないですか、わかりました」


井戸の跡を発見


意外な苦戦。
このあたりにないわけがないのだが…。
駐車場の真ん中で、立ち止まった。
「井戸の跡だ」
井戸の跡!?
「こういう駐車場って、さら地にする前は
住宅密集地なわけですよ。で、時間が経つ
とここに大きなビルが建ったりするじゃな
いですか。そのときに大きな工事をするん
で、あんまり丁寧に駐車場にしないんですよね。
井戸にはコンクリートで水受けとか作るじゃないですか。砂利より、コンクリート
を撤去するのが面倒くさいんでしょうね。アスファルトを敷いてるけど、ここだけ
コンクリが残ってる。で、そこに水道のメーターがあるんですよ。井戸があった場
所って水場だから、井戸は使わなくなっても水道をひいたりするわけですよ」

「これが一番怪しい。パイプを切って潰して、寝かせた…」
さびた鉄管を写す。これも井戸人には貴重な1枚。
ここまで8キロは歩いただろうか。まだ生きた井戸は見つからない。


地形と井戸の関係


柏崎は下町生まれの下町育ち。妻と息子の
3人家族。仕事は携帯電話の電波網の構
築。地形や街並みを綿密に分析し、電波の
流れを読む。目に見えないという点で、電
波と井戸の水脈は似ている。

「地形と井戸の関係を分析しようかなと思
って。こういうふうに白く抜けてる流れが
わかると思うんですけど、昔の川の跡なん
ですよ。本当に東京って、こっちの方は川が削って削ってできた地形なんですよ。
そういう谷のところに今まで見つけてきた井戸が結構集まってるなっていうのが、
わかってきましたね」
東京には川が作った無数の谷がある。そこに井戸を掘り、人が住みついた。

そんな井戸のひとつが自宅のすぐそばにある。
「後ろが崖で、階段がすぐそばにあって、古い電柱もあって。ばっちりなんです
よ。このあたりに生きてきて井戸を見つけたことがなかったんで、なんで井戸があ
るのかなって思って。ここだけなのかなとか、他にはあるのかなって。
で、探し始めたのが一番最初です」


東京が生きている


「アスファルトだらけじゃないですか、東
京。だからこの下に水がちゃんとあるのか
なっていう気がすると思うんですけども、
しっかり地面の下に水がたくさんあるっ
て、なんか東京が生きている感じがして」

市谷柳町。谷あいに柳が生えていただろう
この町の井戸の水は、今も飲めるらしい。

「ここの井戸って飲めるんですか?」
「飲めます飲めます。このまま飲めますよ」(井戸世話人・佐藤さん)
「あーすごい!毎日飲んでるんですか。
 前は飲めなかったって聞いたことがあるんですけど」
「水道ができて、井戸を使わなくなったんで。
 で、1回検査してもらった時には、不適合だと」(佐藤さん)
「そうなんですか。本当だ、平成18年は不適合」
「使わなかったから。使い出したら適合。もう飲めるぞって!くみ出せば他からの
水がどんどん流れてくるので、いい水が出てくるんだと思います。極力自分たちで
使うように、近所の人みんなで植木などに使ってもらってます。今回みたいな地震
があったら、これはもうこの近辺の人たちの命だから」(佐藤さん)
「そうですね。命の水ですね。消防にも使えるし、飲み水にも使えるし」


飲めるのが井戸


「お茶!今の井戸水の」(近所の人)
「ありがとうございます」
「このへん、もう飲める井戸が少ないんだ
って。うちらはここにいるから、飲めるの
が井戸だと思ってる」(佐藤さん)
「いただきます。あっち!!
水でうすめちゃえば…。あー飲みやすく
なった。おいしい、まろやか」

この井戸は江戸時代からあるそうだ。
「井戸は、そこに住んでいる人たちのものなんですね。生活空間というか庭先で、
そこにお邪魔させてもらってるんで。でもあんなふうに気さくに声掛けてくれるっ
ていう、その環境が井戸を残させてくれてるのかも」


ついに発見!


西新宿をあきらめきれない。
「ないっす」
このあたり、豊富な水脈があるはずだが。
高層ビルと地下鉄工事で枯れ果ててしまっ
たのか…。
「こんにちは、このへんに井戸ポンプあり
ませんか」
「この向こうにあるよ」(地元の人)

ん?
「井戸ポンプ見たいの?水出るよあれ」(地元の人)
んん!?
「おおっ!いたいた」 あった!生きていた。
「ないかと思った。ないかと思いましたよ」
2011年6月。東京都新宿区西新宿4丁目。
(どうしてそんなに井戸を探すんですか?)
「なんでですかね、なんで探すんですかね…。わかんない。」
ページTOPへ
プロフィール
Oh!井戸捜査網2011
柏崎哲生さん
柏崎哲生さん
34歳。
東京の井戸を探し歩き、これまでに
500以上の井戸を見つけた。