あの日放送は何を伝えたか 第3回

【1942年2月22日～「勝利の記録」というプロパガンダ(1)～】

３階ヒストリーコーナーの「戦時下の放送」展示

前回は1942年1月25日に放送された「大東亜戦争ニュース歌謡」を取り上げましたが、今回は太平洋戦争開戦直後から放送が始まった「勝利の記録」という番組に焦点を当てます。 「勝利の記録」は放送の前の週に放送された大本営からの戦果についての発表や現地の実況録音などをまとめて毎週日曜日の午前中に放送された番組です。日本軍の快進撃を国民に伝えることで戦意高揚を図ることを目的としていました。

開戦を伝える「勝利の記録」(NHKアーカイブス）はこちら→

放送記録をたどると第1回の放送は1941年12月14日で、その2年後の1943年10月31日まで全98回放送されています。放送内容は前述のとおり前週の戦況についてのダイジェストのような構成になっていて、実際の現地の音声を交えて伝えているところなどは、現代のニュースショー的でもあります。ただし伝えている中身は大本営発表による日本軍の快進撃を中心とした威勢のいい（ある意味都合のいい）内容で、まさに国威発揚をあおる番組となっています。
さて次の番組表は1942年2月22日（日）のものです。余談ですが、今年の2022年2月22日は「２」が6つも並ぶ特徴的な日ですが、この1942年のこの日も戦前・戦中に使われた「紀元」でいえば2602年なので少々無理やりですが「２」が6つ。今では「猫の日」などといわれて平和な時代になりましたが1942年のこの日の放送は戦時色一色でした。

ところでこの日の「勝利の記録」（第10回）は2部構成になっており、放送時間が延長されています。番組表を見ると通常は1時間の番組が、この日は午前9時からの第1部で1時間、午前10時半からの第2部が1時間半放送されたことになっています。98回の放送の中でもこの日のような2部構成の特別編成はこの1942年2月22日以外ありません。次回はこの日の放送内容を探っていきます。

3階ヒストリーゾーンの展示映像　1942年の日本ニュースから