インタビュー

スーアン役

品川徹さん

根がいい人だから悪役を演ずるのは難しいな(笑)

頭の上の縄、あれが気になってしょうがないの(笑)。太いロープでできているから重いんだよね。しかも帽子みたいにかぶる感じだったら少しは安定するんだけど、頭に乗っかってて、ピンとのりで固定しているだけだから、低くかがむときは気になってヒヤヒヤ(笑)。衣裳のショールも重くて、大変です!

スーアンって悪いヤツだよね、腹黒いヤツ。国を乗っ取りたくて仕方がないの。実は、最初はそんな悪いヤツだと思ってなかったんだけど、セリフ覚えをしているうちにだんだんわかってきた(笑)。演出の西村さんから「スーアンとアマン(スーアンの息子)は、マフィアみたいなものですから」と言われて納得しましたよ。あれはいいサジェスチョンだったね。隙あらば国を乗っ取って、自分のバカ息子をロタ王にしようってんだから。

見る人からも「スーアンって嫌な野郎だなぁ」って思われるようにやりたいんだけど、僕はいつも善人の役ばっかりだから、根がそうじゃないもんだから、ハハハ。もしスーアンがいい人だったら僕もそのまま演じていればいいんだけどね。悪役だけど、それなりの魅力はどうやったらだせるかな…ということを考えるよね。今回は自信がないな。(笑)。

演ずることを考えたのは50歳過ぎてからだった

撮影現場ですばらしい声を出す人がいた…イアヌ役の玄理(ヒョンリ)さんという方でしたね。祭議場の丘の上で叫ぶシーンだったけど、あの人の声を聞いて素晴らしい!と思った。ヨーサム王の橋本さんはまだ一緒のシーンはないんですけど、リハーサルを見ていて、風格というのかな…すごくいいなぁって。イーハンさん役のディーン・フジオカさんは風邪を引いたみたいでつらそうだったよ。役者が風邪引くとほんとにキツイんだよ、でも頑張ってやってたよね。

若い人たちを見ていると、僕の若いころは本当にダメだったなぁと思うんですよね。僕が演ずるということを考え出したのは、うーん…50歳過ぎてからかな。それまではダメだった。どうやって演じていいのかわからなかったんですよね。そのことを克服できたのは、もう解散して20年以上たつけど、転形劇場という劇団にいたとき太田省吾という天才的な演出家がいてね。そこで「水の駅」というセリフをしゃべらない2時間くらいの芝居をやって、そのときに「俳優って、しゃべらなくても演ずることができるんだ」ということを会得したんだなあ。それからかなぁ…どんな役でもわりと落ち着いてやれるようになったのは。

どうしても頭に入らないセリフは手で書いて覚える

僕、80歳なんだよね。最初にこのドラマの台本をざあーっと見てみて、「ああ、このセリフならやれそうだな」と引き受けました。というのはね、専門用語が並ぶようなものは、もう断ることにしているんです。長年やっていますからね、すごく難しくて覚えにくいセリフって、台本を見たら分かるので。…とはいえ、これまでめったに断ったことはないんだけど(笑)。

こないだ現場で「セリフはどうやって覚えるの?」って聞かれたんです。昔は台本を何度も読めばよかったけど、最近はそれだけじゃもうダメでね。どうしても覚えられないセリフは書いて覚える。それから、ICレコーダーに自分のセリフと相手のセリフを録音して、それを何度も繰り返し聞く。これがいちばんいい方法だね。最近は必ずやるようにしているよ。