インタビュー

イーハン役

ディーン・フジオカさん

偉大な兄を持つ、心優しい男の成長物語

ドラマの中でのイーハンのスタート地点は、あまりにも偉大な兄・ヨーサム王についつい頼ってしまう弟、というところだと思います。自信がないので、自分は兄のような強力なリーダーシップをとれるだろうかという葛藤があるんですね。一方で彼は、自国の中で民族差別がありながらも、既存の制度や慣習にとらわれずに人の内面を見て接するような優しい、ピュアなハートを持っている人なんです。

人間、迷いがあるときって、口調とかたたずまいに出ると思うんですよ。ですから声のトーンや、間(ま)の取り方なんかはドラマの前半と後半でだいぶ変化をつけました。前半では、批判的な態度をとるロタ王国の南部の人たちから責められると、結構うろたえちゃう(笑)。ですが後半からは、自分の理想を語りつつも、現実を見極めて迷いなく判断していくリーダーに映ればいいなと思って役作りしていました。イーハンに焦点を当ててこのドラマを見ると…ひとりの男がリーダーになっていく、成長物語ですよね。

また、脚本ではヨーサムとイーハンの兄弟の関係性はそこまで深く描写されていないのですが、実際にヨーサム役の橋本さとしさんと共演してみると、心が震えるような場面もありました。improvisation(即興)で変えたちょっとの違いが、すごくいい結果をもたらすこともあって。カットの声がかかった後にしみじみと「今の本当に兄弟っていう気がしたなあ」と感じたりと、ヨーサムとのシーンは、思いがけず深いものとなった印象があります。現場でドライ(カメラなしのリハーサル)やテストを経て、どんどん芝居の深みを増していくって、すごくおもしろいですね。

アクションが大好きなんです!

最初にシーズン1の脚本と映像を見せていただいたときは、アクションが大好きなので、すごく撮影が楽しみで! 馬に乗れるし、剣も振れるし、アクション楽しみだな~って思っていたんです。…ですが実際には、僕の役はアクションがほとんどなかったんですね。「アクションやりたいです!」って言いふらしていたら、「そんなに言うならやらせてあげようよ」って(笑)。もちろんストーリーが変わらない範囲で、武力が必要な場面が無理なくあったからですが…。“sword play”っていうんですか? 剣を使ったアクションをやらせていただきました。

アクションシーンでは、立ち回りの中に気持ちの起伏を入れ込んでいって、ひとつの感情表現になるように心がけています。単純にアクションの形がこうと決まっているから、その動きをするというだけではないのです。それは、僕がこれまで仕事をしてきた中華圏でずーっと厳しく言われてきたことなので、そうやって教わってきたことを違う国で発揮できたのは、自分を導いてくれた人に感謝だなって改めて思いました。

作品全体の中では異色な、トリーシアとのシーン

イーハンとトリーシアの出会いからの一連のシーンは、ドラマ全体のトーンとはちょっと違う雰囲気なので、いい意味でひとつの“アクセント”になると思います。“初恋チック”というか…ラブストーリー的で。だからこそ、引き裂かれたときの2人の怨念が強烈になっている。それは……“愛と憎しみの物語”かなと感じました。短いですが、想像以上に濃いシーンになりましたね。

ちなみに、壇蜜さんと初めてお会いしたのは、トリーシアが処刑された直後のシーンだったんです。壇蜜さんの体に刺さっている槍(やり)の先を「これ痛いですか~」って、会話して仲よくなりました(笑)。

「精霊の守り人」は登場人物が皆キャラ立ちしていて、それぞれの物語も秀逸ですから、たぶん見ていて飽きないですよね。“盛りだくさん”ってこの作品のためにある言葉じゃないかと思うくらいです。フォーカスポイントがありすぎて、大丈夫かなって心配になるくらい、いろんな視点から何度も楽しめると思うので、これはもう…皆さん、繰り返し見すぎて睡眠時間が足りなくなっても知らないですよ!、と(笑)。