インタビュー

チキサ役

福山康平さん

僕の隣にアスラがいました

「チキサのシーンは、アスラだよ」。撮影前、監督に1か月ほど本読み(リハーサルの前に台本を読み合わせる作業)をしていただいたのですが、その間ずっと言われていたのがこの言葉です。チキサが何か行動を起こすときは、それはすべてアスラのためなのだと。兄としてとにかくアスラを守ること、それがチキサの役割だということを理解しました。…でも、あんなにかわいい妹がいたら、兄としては自然と守りたくなりますよね(笑)。

台本からチキサがどういう人物かはわかっても、実際のシーンでセリフを言うときにはいったいどのようにしたらいいのか、そのときはまだ具体的なイメージはあやふやのままでした。加藤監督は「正解はないから、ひとまず思ったことをやって、どんどん変えていけばいいから」と言ってくださいましたが、「どうしよ、どうしよ」ってずっと考えていて…。

最初はひとりだったその本読みに、あとから梨央ちゃんが合流してきました。梨央ちゃんとはそれまでほとんど話したことがなかったのですが、横にいるのを見た瞬間、鳥肌が立ったんですよ、「うわー…アスラがいる…!」って。僕の隣に、本当にアスラがいたんです(笑)。「これはチキサ、やばいな〜どうしようかな〜」とすごくプレッシャーを感じましたね。撮影が始まり、いろいろと試行錯誤を繰り返しながら、ようやくここまで来た感じがします。

タンダさんやスファルさんと「ちょっと一局…」

アスラとチキサは仲のいい兄妹なので、その距離感が映像にも出るようにと、梨央ちゃんとはなるべく一緒に…撮影中でもそうでないときも…いたいなと考えていたのですが、実際のところ梨央ちゃんと一緒にいるのがすごく楽しくて! 年が7つ離れてはいますけれども、撮影の合間に学校の話をしたりごはんを食べにいったり、とても仲良く…というか、いじられ放題いじられていますが(笑)。本当にいい子、いい“妹”だなと思いますね。

撮影の合間といえば、梨央ちゃんがいないときは、東出さんとよく将棋を指していました。将棋好きの東出さんが盤と駒を持ってきてくださるんですよ。僕も小さいころから将棋をずっとやっているので、結構いい勝負になったりして(笑)。アクションチームにも将棋好きの方が何人かいらしたので、撮影を待つ間皆でやっていましたね。時々スファルさん(柄本明さん)も「僕もちょっと一局…」なんて遊びにいらっしゃって。

福山チキサの正念場が来たー!

今改めて撮影を振り返ると、ワンシーンワンシーンに思い入れがあります。現場に入って何日かたったころ、第3話の、チキサがシハナに向かっていくシーンの撮影があったんですが、リハーサルでもうまくいかず、監督からも「こうしてみようか」「ああしてみようか」とたくさんアドバイスをもらって頭の中がグルグルして。「これは正念場だ。ついに福山康平がチキサをやるにあたって越えなければならない壁が来た…!」と自分で自分にプレッシャーをかけてしまって。

このまま本番に入ったらヤバイな…と思っていたとき、東出さんが声を掛けてくださったんです、「難しく考えなくても大丈夫だから」って。そのひと言で楽になりました。本番に入ったら、シハナは本当に怖かったのですが(笑)、そんな中、タンダは“東出さん”そのままで本当にあたたかくて…。無事撮影を終えたときは本当にありがたいなと思いました。皆さんいい方たちばかりなんです…あ、シハナさんも怖いのは本番だけで、ふだんはとてもやさしい方です(笑)。

周りの役者さんはそうそうたる方ばかりなので、その演技を間近で見ていると引き込まれてしまいます。その中で、役者としてまだまだ経験の浅い自分が、経験したことのないチキサの境遇をどう表現することができるのかと、常々考えながらの半年間でした。でも、始まる前と今では全然違う自分がいて、成長させてもらったな…と思います。うまくいかないこともたくさんありましたが、総じて「楽しかった!」という思いが大きいですね。ただ、映像の仕上がりが楽しみな反面、怖くもあったりして…それが今、僕の心にいちばんのしかかっていることです(笑)。