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10月 9日放送
"クロスカップリング"って、なに?
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ノーベル化学賞のニュースは、ほんとにうれしいニュースだったね。その受賞理由となったのが「クロスカップリング」反応と呼ばれる化学反応の開発だ。何のことかなぁ。ちょっと難しそうだけど、じつは私たちの身の回りのいろいろなところで役に立っている。
解説、スタート!!!
この反応、ひと言でいえば、「構造の違う2種類の有機化合物どうしをカップリング、つまり、くっつけて新しい有機化合物をつくる反応」のことなんだ。
有機化合物というのは、炭素を含む化合物のこと。もともとは人間のからだをはじめ、動物や植物など自然界にさまざまに存在している。人間はそれらを材料に人工的に新しい有機化合物をつくってきた。代表的なのが石油からつくるプラスチックや合成繊維で、20世紀は生活に役立つ新しい有機化合物が次々と登場した。
でも、有機化合物をつくる炭素どうしは、仲が良いわけではない。だから、種類の異なる有機化合物をただ混ぜ合わせても、なかなか結合しない。どうすれば、うまくくっつけて新しい化合物を作り出せるかが、大きな課題だった。
そこで、登場するのが、化学の世界ではお馴染みの「何かを仲立ちにすれば、うまくくっつくんじゃないか」という研究。結婚に例えれば、仲人をたてて縁談をまとめようという考えだ。どんな条件で、どんな物質を仲立ち(化学の世界では「触媒」という)にすればいいのか?、世界の研究者が挑む中、「パラジウム」という金属を使う新たな方法を確立し、改良を加えてより安定的なものに発展させていったのが、今回受賞がきまった3人の研究だった。
1972年(昭和47年)、まずアメリカ・デラウェア大学名誉教授のリチャード・ヘックさんが「パラジウム」を仲立ちにした合成方法を見いだした。その5年後の昭和52年、根岸さんが「パラジウム」に加えて「亜鉛」を使うことで、より安定的に反応を起こすことに成功。さらに、その2年後に、鈴木さんが「亜鉛」のかわりに、より安全で扱いやすい「ホウ素」を加えることで、さらに効率的に合成を進める方法を確立した。有機化合物を工場などで大量生産する道を開くことになったんだ。
「クロスカップリング」反応と呼ばれるこうした方法は、新しい有機化合物をつくるための「万能のり」とも言える方法で、複雑な構造の物質も簡単に合成できるようになり、私たちの生活のいろいろな分野で役に立っている。 例えば、薬の開発や製造。国内で100万人以上が服用している高血圧の治療薬の主な原料は、「クロスカップリング」の技術を応用してつくられている。テレビや携帯電話の液晶画面に使われる材料の製造でも、この技術が応用され、高性能の液晶画面を安くつくれるようになった。さらに、次世代の照明や、薄くて曲げることができるディスプレイの実用化などに期待がかかる「有機EL」という材料の開発にも役立っている。
身近なところに応用されている「クロスカップリング」の研究。ノーベル賞は、普段は気づかない、科学者たちの努力を私たちに教えてくれた。


