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宮崎の独自文化!?街なかの『ほこら』にまつられているのは?

  • 2023年12月07日

視聴者の疑問や質問にお答えする「てげ探!」です。今回、お答えするのはこちら!

宮崎市在住の60代男性
「宮崎市内の道路脇や民家の庭の隅に小さな『ほこら』をよく見かけます。これは何をまつっているのでしょうか」。

調査開始後、続々発見!

最初にほこらを見つけたのは、NHK宮崎放送局から直線距離で400メートルほどの住宅街。30センチほどの石像2体がまつられていました。

そこからおよそ300メートル離れた場所にも。こちらは石像と木彫りの像です。ほかにも、複数の石像などがまつられているところなど、宮崎市を自転車で1時間ほど移動したところ、20ほどのほこらを確認することができました。

平和台公園の近くに『ほこら』が多い!?

さらに平和台公園の近くは、特にほこらが多いとの情報を入手。宮崎市下北方町に向かいました。

この地域で自宅近くのほこらを管理している長峰 繁輝さんです。

【長峰 繁輝さん

(この地域では)あちこちあるね。お大師さんもおそらくそうだと思います。みんなそれぞれ、回りばんこで花やおにぎりあげたりしている。

この地域の歴史などを調べている人を訪ねました。

【大宮地域街づくり推進委員会 山口 泰孝さん

昔の旧家の本家には(ほこらが)ほとんどあるんじゃないか。200~300あっても不思議じゃない。

この地域の特徴の1つは、多くの個人のお宅の敷地内にほこらがあることです。垣根の間に石像だけがまつられているお宅もありました。また、石像などはなく、いわゆる神棚のようなほこらも。

平和台公園の近くの『ほこら』の数は地形が関係!?

なぜ、平和台公園近くにはほこらが多いのか。その謎を解こうと次に調査員が向かったのは、1800年以上前から続くとされる奈古(なご)神社。

宮司の串間 清克さんは、ほこらの数は地形が大きく関わっていると教えてくれました。

【奈古神社 串間 清克 宮司

(平和台公園周辺は)高台にあたるので、大淀川は〝暴れ川〟で水害が多かっただろうから、皆さん高台のほうに住んでいただろうと思う。

 

現在の宮崎市中心部は大淀川の氾濫などで水害が多かったため、古くから人が住んでいたのは高台の平和台公園周辺だったのです。このため、多くの人が住んでいたこの地域一帯では、家内安全や子孫繁栄を願いほこらを大切にする文化が根づき続けているということです。

まつられていたものは!?

道上アナ

たくさんのほこらがあることはわかりましたけど、質問にあった「ほこらには何がまつられているか」についてはわかったんでしょうか?

辻本キャスター

それは同じではなく、場所によって▼神様▼仏様▼お地蔵様▼ご先祖様などさまざまでした。

道上アナ

なぜ、さまざまなものがまつられているんでしょう。

辻本キャスター

それについてはどうも、この地域、特有の背景が関わっているようです。

【宮崎公立大学人文学部 永松 敦 教授

平和台公園の下の地域は、いろんな神様に関する伝説があり、宗教者が非常に集まりやすい巡礼の地だった。その方々が宮崎に住んで定着をしていき、ほこらを作って拝む習慣を作っていったんだろう。それぞれの魂をまつる習慣が延々と今も続いている、それが1つの宮崎の宗教文化の特色と言っていいと思います。

一件落着!?いえいえ、あの神様も調査!

道上アナ

なるほど。さまざまな宗教文化が集まり、信仰も根付きやすい場所だったんですね。というわけで、これで今回の調査は終了でしょうか。

辻本キャスター

いえいえ、てげ探ですからこれで終わりません。一風変わった“あの”神様についても調べてきました。

“あの”神様に出会えるのはえびの市。案内してくれたのは、地元の歴史民俗資料館の北方 俊二館長です。

北方館長

これが代表的な『たのかんさあ』ですね

田んぼの神様「田の神さあ(たのかんさあ)」。五穀豊穣を願い農民が作った石像です。地元の人たちが“お化粧”を施しています。

道上アナ

とっても表情が愛らしいですね。

田の神さあも種類はさまざま。右手にしゃもじ、左手にお茶わんを持っている「農民型」。神職のいでたちをした「神官型」。えびの市内におよそ150体ある田の神さあ。そもそもは、えびの市が薩摩藩に属していた江戸時代中期ごろ、厳しい年貢の取り立てなどで生活に制限があった農民たちが身近で「よりどころ」となる像として作り始めたとされています。

しかし、今では「田の神さあ」は地域全体の誇りだと地元住民は感じています。

【押領司 征紘さん

この地区では宝物です。もう298年、あと2年たったら300年。この地区だけじゃなく、えびのの誇り、重要な田の神さあです。

【えびの市歴史民俗資料館 北方 俊二 館長

こういうものを観光の資源として考えるのもひとつ。ぜひ、残していきたいと思う。

道上アナ

「信仰」のルーツが今では、地域の魅力にもつながっているという場所もあるんですね。

辻本キャスター

地元の人からすれば、地域にとけ込んでいて日常的な風景かもしれませんが、今回調査した宮崎市のほこらについても、貴重な財産なのかもしれないですね。

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