九州南部 大雨の前にできる備え 土砂災害・氾濫への対応は?
- 2023年06月30日
宮崎県では梅雨前線などによる大雨の季節を迎えています。
土砂災害、低い土地の浸水、河川の増水や氾濫に備えが必要です。
また線状降水帯が発生すると、大雨災害の発生の危険度が急激に高まります。
天気が悪化した際には、最新の気象情報を確認して、状況に応じて厳重に警戒してください。
防災士の資格をもつ神谷一鷹アナウンサーが豪雨災害への備えや注意点をまとめました。
(2023年6月30日午後2時現在の記事です)
線状降水帯とは?
線状降水帯とは、積乱雲が次々に発生し帯状に連なる現象で、洪水や土砂災害の危険性が急激に高まります。記憶にも新しい、西日本豪雨や九州北部豪雨などもこの線状降水帯による大雨の被害です。
気象庁はおととしから、線状降水帯の発生が確認された際に「顕著な大雨に関する情報」を発表し
対象の地域に、大雨による危険が差し迫っていることを伝えるようになりました。
「顕著な大雨に関する情報」が出た時には、災害が起きる可能性があると考えて、すぐに命を守る行動をとる必要があります。
また「顕著な大雨に関する情報」は、2023年5月からは、予測技術も活用して発表されています。
これまでは、実際の雨量などの「観測データが発表基準を満たした段階」で情報が発表されていましたが、「予測で基準を満たすことがわかった段階」で発表されるように変わりました。
これにより、従来と比べて最大30分早く情報が発表されます。
身の安全を確保するための時間が少し増えるので、情報を有効に活用して下さい。
特に、暗くなってからの避難は非常に危険です。明るいうちに避難を完了するようにしてください。
まずは自分がいるエリアの災害リスクを知る
いざという時に身を守る行動がとれるためには、普段自分が過ごす場所にどんな災害リスクが潜んでいるのか知る必要があります。改めて、「ハザードマップ」を確認してください。役場などで配られているほか、お住いの自治体のホームページでも見られます。
NHKでも、「全国ハザードマップ」というサイトを公開しています。
これは、国や自治体が集めた災害リスクデータを、全国どの地域でも確認できるようにしたものです。
増水による氾濫には大きく2種類
大雨や台風などの多量の雨によって引き起こされる氾濫には「外水氾濫(がいすいはんらん)」と「内水氾濫(ないすいはんらん)」の2種類があります。どんな被害が出るのか、延岡市を例に見ていきます。
①外水氾濫 対策は「早めの避難」
外水氾濫とは川の水が堤防からあふれたり、それによって川の堤防が決壊したりする状況です。「川の氾濫」と言われて一般的にイメージされるのがこの外水氾濫です。
これは、延岡市の五ヶ瀬川があふれて市街地に水が流れ込んだ様子を再現したCGの画面です。市役所などがある川の中州の部分が、最大5mの高さにまで水没する恐れがあります。
一度氾濫が起こると、わずかな時間であふれた水が流れ込み、あっという間に孤立してしまいます。
このような状況になる前に避難をしておく必要があります。
宮崎県は市街地に河川が多く、一度外水氾濫が起きると大きな被害につながりかねないので特に注意が必要です。
②内水氾濫 対策は「普段からの手入れ」
一方、内水氾濫とは主に市街地に短時間に多量の雨が降ることで起こります。その水が本来流れ込む先だった川や下水道の水位も急激に上がってしまい、排水ができなくなって、市街地が水に浸かってしまう現象をいいます。
これは、延岡市の中心部から少し西にいったところにある富美山地区。画面の中央に向かって下り坂、土地が低くなっています。そして、郵便局の看板が見えますね。この地域に大雨が降ると・・・
このように水没してしまいます。周囲より低くなった土地は内水氾濫が起きやすいので注意が必要です。
内水氾濫に備えよう
事前に出来る準備として、側溝など排水路の手入れがあります。
木の枝や落ち葉などの漂流ごみが側溝をふさぐと排水能力が低下し、内水氾濫が起こりやすくなります。
延岡市の一部ではたまった漂流ゴミのことを「ごそ」と呼んでいます。この「ごそ」をしっかり取り除くことが重要です。
自宅の周辺にこういった側溝がある場合は、ゴミで穴がふさがっていないか、水の流れ込みを阻害する恐れはないか、今のうちに確認し、手入れしておきましょう。
土砂災害 対策は「五感を使うこと」
豪雨の際は、土砂災害にも注意です。
土砂災害は突発的に起こります。今まで土砂災害が起きていないところで発生することも多くあります。「過去に被害が起きていないから大丈夫」は通用しません。
土砂災害には前兆現象がある場合があります。
①土石流の前兆現象
・普段聞きなれないような大きな音や異様な音が聞こえる
・土や木の葉が腐ったようなにおいがする
・川の流れが濁り、流木が混ざってくる
②がけ崩れの前兆現象
・斜面に割れ目が見える
・斜面から小石が落ちてくる
③地すべりの前兆現象
・斜面から水が湧き出るようになる
・沢や井戸の水が濁る
・家屋などの建造物に亀裂が入り、樹木や電柱が傾く
周辺の様子を普段から観察し、これらの現象を察知したらすぐに避難することが必要です。
高潮の時は沿岸に近づかない
台風の中心付近は気圧が低く、吸い上げ効果により、気圧が1ヘクトパスカル下がると海面が1センチ上昇します。また大潮と台風の接近のタイミングが重なると高潮の発生する確率が高まります。台風の高波を見物に行くなどは危険ですので絶対に止めてください。
あなたの命を守るために
その他、詳しい台風や豪雨災害への備えは、こちらのページ「災害列島 命を守る情報サイト」に記載されていますので、この機会にぜひご確認ください。