ページの本文へ

NHK宮崎WEB特集

  1. NHK宮崎
  2. 宮崎WEB特集
  3. コロナ8波 相次ぐクラスター 高齢者施設でなにが?宮崎の現状

コロナ8波 相次ぐクラスター 高齢者施設でなにが?宮崎の現状

  • 2023年01月17日

人口10万人あたりの新規感染者数が全国最多となり、感染した高齢者が亡くなるケースが相次いでいる宮崎県。現場ではなにが起きているのか?
高齢者施設の施設長が宮崎県の切実な現状を訴えます。

クラスターの8割弱が高齢者施設(1/1-1/7)

下図が宮崎県が把握している1月1日から7日に発生したクラスターの状況です。年末から件数が増え1週間で55件が確認されました。このうち42件と8割近く占めているのが高齢者施設となっています。

県内では新型コロナに感染した高齢者が連日亡くなっており、こうしたなか、昨年末にクラスターが発生した延岡市の高齢者施設の施設長が、NHKのオンラインインタビューに応じ、切実な現状を訴えました。

施設長が語る厳しい現状

インタビューに応じたいただいたのは延岡市にある住宅型有料老人ホームの山本照明施設長です。
施設では対策を徹底していたものの、昨年11月から先月にかけて入居者36人のうち28人が新型コロナウイルスに感染し、1人が亡くなりました。

山本照明施設長
最初は熱も高くなくてすごく元気なんですけど、感染してから個室に入って部屋で過ごすのが10日間なんですけど、3日目くらいから体調を崩したり、精神的にまいっていくんです。それでご飯が食べれなくなったりとかしています。

職員も感染。しかし…

職員も半数以上が感染したものの、陽性になった患者の対応のため、泊まり込みも含めて仕事を続けざるをえませんでした。

山本照明施設長
コロナにり患している人は、コロナにり患している職員が入って食事と薬の提供をしていました。全部ドアに「(コロナに)かかっています」という貼り紙をして、工夫をしながら対応しました。
それでも衰弱して緊急搬送した方が2人いて、そのうちの1人は亡くなってしまいました。

もともと慢性的に人手不足となっている介護現場。コロナ禍以降ますます担い手が減っているといいます。山本さん自身も感染しながら11月末から1日も休めずにいるいうことです。

山本照明施設長
私たちの施設も2人くらい足りないような状況です。今後1人でも欠けることがあれば非常に厳しくなります。いつまで続くんだろうかと、全員が思っていると思いますが、それに耐えていくしかないかなという感じがします。こうした介護の現場が維持できるよう、国や県にも対応を考えていただきたい。

想像を超えて厳しい現実

感染した職員が、感染した入所者を介護しなければならないという現実は想像を絶するものがあります。

山本さんによると感染者が出ていたときには、入所者の食事を食堂ではなく、それぞれの部屋で食べてもらっていたそうです。感染していない職員が、感染した入所者の部屋に入るときには、防護服に着替えて靴も履き替えていたため、一人ひとりの介護に普段の3-4倍の時間がかかったということです。

職員の人手が薄いなか、さらに業務量が増えることで輪をかけて大変な状況だったということです。いまも山本さんたちと同じような高齢者施設は県内の各地にあるとみられます。

そうしたことを踏まえて、今の感染拡大が少しでも早く収束に向かうように私たちもできる限りの感染対策を心がける必要があります。

ページトップに戻る